BIZREN☆通信 7号 「今更ですが、自己分析してみませんか?」

2019年6月 福田隆介

【近況】

「バンッ(手がついた音)!ドスッ(膝が着地した音)」「(周り)(ドヨドヨ)・・・」6月例会翌日の運動会親子リレーで出だしに派手にこけました。こける瞬間は走馬灯です。昔、何度か同じ同士を見、あーはなりたくないと思った記憶が蘇ります。「お父さん、気持ちに足がついていきませんでしたね by保育士さん」と笑い飛ばされました。オチは、これでも学生時代は陸上部だったということ。後日、定期的に通っている整体師さんに小生が元陸上部ということは伏せながら転倒した話を笑い話にすると、過去の輝かしい?姿をイメージしてダッシュし、運動会で転倒する元陸上部員お父さんが例年多いとのことを聞きました。酷いと肉離れやアキレス腱までやってしまうとか。運動不足の元陸上部員の方はくれぐれもご注意を。

そうなんです。もう(絶対的に)若いとはいえない。会社の中では立派なおじさん。部下を持つ同期も多くなり、一時前の転職限界とも言われた一線を越える年齢になってきました。これといったきっかけがあったわけではないですが、こけて年齢を感じたことが後押ししたわけでもないですが、これまでのキャリアの棚卸も含めて、自分の心地よい状態とは何なのか、ちょっと哲学モードに最近入っています。

診断士の性なのかすぐフレームワークの類を探しに行くのが悪いところで、とりあえず書店の自己啓発コーナーに立ち寄りました。たまたま手に取ったのが『エニアグラム-自分を知る9つのタイプ(ドン・リチャード・リソ&ラス・ハドソン著の和訳版)』。前書きに書いてあった考え方が何となくしっくりきたので、買って読んでみました。内容として興味深かったので簡単に紹介します。余談として、自分の取り扱い説明書(血液型編)も、純粋に面白かった(注:興味深くはない)です。

【エニアグラムとは】

エニアグラムは、九つの基本的性格タイプと、それらの複雑な相互関係を描いた幾何学的図形です。九つの基本的性格タイプとは以下の通りです。①改革する人-高潔で、理想が高い、②助ける人-思いやりがあり、人間関係を重視、③達成する人-適用力があり、成功思考、④個性的な人-ロマンティックで、内省的、⑤調べる人-強烈に思考する、理性的、⑥忠実な人-真剣にかかわる、安全志向、⑦熱中する人-忙しく生産的、多才で楽天的、⑧挑戦する人-パワフルで、掌握する、⑨平和をもたらす人-気楽で控えめ。相互関係とは、「統合」と「分裂」を指します。エニアグラムの統合とは、「自分が成長したときの特徴(方向)」がわかるもので、ストレスをあまり感じず、自分らしくいれる状態のときに、相互関係にあるタイプのいい特徴が自然と出てくるというもの。

例えばタイプ①改革する人の統合方向は⑦熱中する人となりますが、①高潔で理想が高い完全主義者が成長する過程では⑦楽天的に物事を考え、こうあるべきだと思っていた自分の視野の狭さに気づけるらしいです。分裂はその逆で、「自分が不安やストレスを感じている時の特徴(方向)」がわかるもので、大きなストレスや不安・怒りを感じていつも以上に気分が落ち込んだり、取り乱している時に、相互関係にあるタイプのマイナスの特徴が自然とでてくるというもの。逆に⑦熱中する人の分裂方向は①改革する人となり、⑦本来前向きで興味があることに手を出しすぎる傾向にある楽天家が大きなストレスや不安・怒りを感じると①完全主義者のマイナスの特徴である「細かいことにうるさすぎる」「口やかましくなる」などの特徴が自然と出てくるらしいです。このようにこの学説の趣旨は、人の成長パターンと陥りやすいパターンをタイプごとに極めて具体的に示すことで、その限界を超え、本来持っている可能性や資質を伸ばすことを目指すものと理解しています。もっと色々と深いことが書いてありましたが文字数の関係で割愛します。ネットでも調べられます。

起源は諸説あるようで明確になっていないようですが、2500年以上前に遡る歴史あるものに間違いはないようです。かなり長い間オカルト扱いをされていたようですが、20世紀に複数の学者(追々調べてみると小生が読んだ本を書いた人のよう)が心理学研究を発展させた結果、現在、効果的な自己成長システムの一つとして、ビジネス・コーチング・カウンセリング・教育などに取り入れられているようです。自分自身がどのタイプに当てはまるかはgoogleで『エニアグラム』と検索すれば様々なサイトが簡易診断テストを提供していますので是非時間と興味があればやってみてください。


執筆者プロフィール

福田隆介(ふくだりゅうすけ):東京都在住。総合重機メーカに勤務し、素材調達を主に担当。2012年診断士登録。本年3月まで3年間京都に単身赴任しており、3年ぶりのBIZREN復帰となる。マイブームは日本酒。

BIZREN☆通信 6号 「BIZRENで展開されるプロジェクトのご紹介」

2019年5月 会員担当

企業内ビジネス連携研究会(BIZREN)では、毎月第2金曜日の例会において、様々な業界の動向や勤務先での取り組みを知る「勤務先事例紹介」や、テーマに対してショートディスカッションを行う「しゃべこら」を行っています。

この月一の例会には収まりきらない活動をプロジェクトとして実施しており、人脈形成やスキルアップを求める方、もの補助や副業に取り組みたい方、実務ポイントを求める方など、企業内診断士の多様なニーズに対応したプロジェクトを計画しています。

■補助金プロジェクト

BIZRENには、企業内診断士でも「ものづくり補助金(通称:もの補助)」の申請代筆にチャレンジできる仕組みがあります。案件ごとに、プロジェクトマネージャー(PM)とチームを組んで対応し、企業様との打ち合わせはPMが行いますので、代筆担当者は企業訪問をすることなく、土日や空いている時間で申請書作成に取り組むことが可能です。

初めての方には研修もあり、基本的なルールや採択されるためのコツを教えてもらえます。実際の申請書作成においても、PMのサポートや、BIZREN内の各種相談コーナーでも質問をすることができるので安心です。さらに、申請書の納品前にはチェック担当者による二重チェックもあるので、補助金申請が初めてでも、製造業の経験がなくても大丈夫。このようなサポート体制が整っているのは、何年も企業内診断士の補助金申請に取り組んできたBIZRENならでは、です!

そのほか、経営革新計画や経営力向上計画、先端設備導入計画などの代筆依頼もあります。診断士として経験をしたい補助金申請業務にBIZRENで是非チャレンジしてみませんか?

■実務診断プロジェクト

企業内診断士によくある「資格を取得したものの活かす機会が少ない」、「資格更新に必要な実務従事ポイントを獲得する機会がない」という悩みに対し、BIZRENで実務従事をする機会を年2回程度設けています。BIZREN会員でメンバーを募集して、チームを組んで実際の中小企業の診断に取り組みます。なにかと忙しい企業内診断士のチームなので、打ち合わせは、極力、平日夜や土日にChatworkやZoomなども活用し、効率的に行います。実務従事ポイント獲得や中小企業診断士としてのスキル向上はもちろん、日頃の定例会ではわからないBIZREN会員の多才な側面を知ることのできる良い機会です。募集があった際には、積極的な参画をお願いします。また診断したい中小企業はあるが、一人では不安なのでメンバーを募集したいという方からの持ち込み企画も大歓迎です。

■グローバルプロジェクト

グローバルプロジェクトは、海外知見のある企業内診断士のスキル経験の活用と、国際化社会を迎え日本人ビジネスマンがグローバル感覚身につけるきっかけを与える場となることを目的としたプロジェクトです。

過去の事例としては、海外産業人材育成協会による貿易投資促進事業のカンボジア経営者向けの訪日研修コースの協力がありました。製造業や建設業、サービス業などの様々な業種のカンボジア人経営者が、日本企業とのアライアンスを想定したビジネスモデルを検討し、プレゼンテーションを実施。その際の、ファシリテーター、及びコメンテーターとして参加しました。

不定期募集となりますが、海外の経営者や起業家の方と実際にビジネスの話しをし、先方の考えに触れる機会です。
ご興味ある方は、募集の際に是非ご応募ください。

■2Hats倶楽部

BIZREN会員の副業のニーズと、業務を委託したい企業のニーズをマッチングさせるプラットフォーム構築を目的とした、「2hats倶楽部」というプロジェクトを進めています。

企業内診断士は、独立診断士に比べて診断士としての活動がどうしても制約されるため、「資格を取得したのに活かせる実践の場がない」、「資格を維持する会費や研修費用など出費ばかりで収入を得る機会がない」などお悩みの方も多いと思います。

そこでまずは、BIZREN内での副業に関するニーズや課題、会員の所属する企業や知人が経営する企業などから、どの程度業務を受託できる可能性があるかを定量的に把握すべくアンケートを実施しています。

まだスタートしたばかりのプロジェクトです。みなさまから多くのご意見をいただき、年内にはパイロット導入、来年から安定稼働を目指していきたいと考えていますので、積極的な参画をお願いします。

■テーマ別プロジェクト

さらに、診断士としてのスキルアップを目指したテーマ別プロジェクトも実施予定。

第一弾のテーマは、本業と診断士活動の両方に役立つスキル「プレゼンテーション」。有志を募りグループでテーマ研究を行い、個別勉強会や外部講師を招いた講演、寄稿などの活動を検討・推進し、BIZRENでも研究内容を共有していきます。

興味のあるテーマがある方は、ぜひ第二弾以降のテーマとしてご提案ください。


執筆者プロフィール

企業内診断士ビジネス連携研究会 企画担当幹事

浦 美和子 (うら みわこ)
菅 巧也(すが たくや)
鈴木 雅人(すずき まさと)
青田 良夫(あおた よしお)
齊藤 尚仁 (さいとう なおひと)
城 秀利(たち ひでとし)

BIZREN☆通信 5号 「診断士の輪の向こう側のあなたの知らない世界」

2019年5月 堀 崇博

『3.11』

2011.3.11. 診断士試験合格後の実務補習、最後の1社の最終報告会を3日後に控えた、金曜の昼下がりにそれは起きた。

帰宅困難のため、その日は会社に宿泊。同僚に「何書いてるの?」と訝られながら深夜までPCに向かい診断報告書を作成。

土曜は何とか帰宅。日曜にメンバーと報告会へ向けた最終すり合わせ。明けて月曜、いよいよ最終報告会に臨み・・・のはずが、交通機関がマヒ。診断先企業にたどり着いたメンバーは半分。やむなく報告会はそのメンバーに任せ、残りの半分(私も含む)は、動いている電車と徒歩を駆使し、登録手続き&修了式の会場でもある両国を目指すことに。

こうして私の診断士ライフは波乱含みのスタートとなった。

登録直後は意欲的にあちこちのイベントに参加してみた。春先は震災の影響で延期や中止になっているものも多々あったが、それでも支部総会や研究会の説明会、マスターコース説明会などを回るうちに、瞬く間に名刺の山ができる。

当時、「企業内診断士」に特化した研究会は珍しかったので、BIZRENには早い段階で入会を決めた。11月にはサッカーW杯で副審を務めたSさん(この方も診断士)をゲスト講師に初めてのBIZRENフォーラムも開催され、私も会場案内係を務めた。

『未知の世界への扉』

徐々に診断士の輪が拡がっていった私だが、ふとしたことで、新たな世界の扉に手をかけることになる。

ある時、仲良くなった同年代の診断士から食事会に誘われた。お相手は飲食関係の交流会で知り合った方々だという。その食事会で同席したのが「世界一美しい食べ方のマナー」の著者で、芸能人のマナーをチェックするバラエティ番組などにも出演しているOさん。日本箸文化協会の代表でもあり、ついつい他人の箸の使い方にも目が行ってしまうそうで、私も冷や汗をかきながら慎重に箸で食事をつまんだ(笑)

その席で話題に挙がったのだが、Oさんは「日本ビアソムリエ協会」の理事も務めているという。私も元々ビールは好きだったのだが、風呂上りに大手メーカーの缶ビールをグイっと飲むばかりで、ソムリエ資格があることなど全く知らなかった。早速に資格講座の受講を申し込み、私はビールの世界に足を踏み入れた。

ビアソムリエ講座の受講者は、飲食店の従業員やビール会社の社員、私のような一般消費者など様々で、ここで多くのビール業界人と交流することができた。

ビールというとアサヒやキリン、サッポロといった大手のビールが頭に浮かぶ。実際の流通量も、大部分を占めるのはこうした大手のビールなのだが、ビアソムリエ講座では、実は世の中には驚くほどたくさんの種類のビールがあることを学ぶことができる。

まず、国によって違う。ドイツは日本でも親しまれている「ラガー」タイプが主流だが、ベルギーにはスパイスを使ったものや、ウィスキーに近い味わいのものもある。イギリスは黒くて炭酸弱めの「スコッチエール」が有名だ。

そして近年、流行の大きな波が来ているのが 「クラフトビール」 。クラフトビールは、いわゆる大手ビールではない、小規模な醸造所で作っているものの総称で、全国各地の地ビールもこれにあたる。それぞれ、自社の特徴を出すために素材や製法等にこだわって多種多様な味わいを造り出しており、クラフトビール専門のビアバーも都内で次々にオープンしている。

そんな全国各地のクラフトビールが一堂に会するイベントが「けやき広場ビール祭り」や「大江戸ビール祭り」などのビアフェスである。ビアフェスでは安価な「4種飲み比べセット」などを各地の名産品とともに楽しむことができ、年々、来場者が増加する人気イベントとなっている。

↓地方ではお城の麓で開催されることも

また、手軽にクラフトビールが楽しめる穴場として、百貨店で開催される「大北海道展」や「鹿児島展」などの物産展がある。最近では必ずと言っていいほど、その地元のクラフトビールが出店されており、安価に飲むことができるのでおススメである。

↓お得な4種飲み比べセット

こうして診断士のつながりをきっかけに新たな世界を開拓できた今後も機会があれば、思い切り良く足を前に踏み出して扉を蹴破って行こうなどと思っている。


執筆者プロフィール

堀崇博(ほりたかひろ):埼玉在住。空調エンジニアリング会社にて経理業務と経理システム構築に携わる。2011年診断士登録。ビアソムリエと日本酒ナビゲーター、チーズ検定と日本城郭検定の資格を持つ。出張にかこつけて各地の城を巡り、地元のビールとグルメを楽しむ。好きなお城は松本城。

BIZREN☆通信 4号 「経営にチャレンジしてみて」

2019年4月 進藤良一

平成26年11月19日、千葉県柏市の法務局で登記が完了し、晴れて会社設立。新しいチャレンジが始まった。しかしこのチャレンジは今までにないくらい難しい。BIZRENで、せっかく企画をもらったのでこの機会に今までの経験を振り返りつつ考えてみたい。

【独立するまで・・・1社目】

私は大学卒業後、ラーメンチェーンを展開している会社に新卒で入社した。働くことの意義、目標、社会人としてのマナーなど自分の根幹になるところはここで培われた。そして店を回すこと、アルバイトの管理、売上向上など店長としていろいろなことを学ばせてもらった。関東、中部の様々な県の店舗を経験し売上上位にも顔をだすようになった頃、もっと新しいことにもチャレンジしてみたいという思いがふつふつと湧き上がってきた。具体的には店舗はP/Lで動いているが、B/Sも知りたい、関わってみたいと思うようになっていた。それには経理の仕事が良いのではと考えた。

【はじめての転職活動】

30歳を超えた男性で未経験の経理職に転職というのは当時、ほぼ不可能と言われていた。応募書類を出しては断られ出しては断られた。何度も繰り返したが1件面接に呼ばれた。面接担当は後の上司だった。私は経理の実務経験もないのでラーメン店での話をして終わった。最後に帰りの電車は何線かを聞かれただけだった。面接の手応えなどあるわけがなく帰路についた。次の日、明日から来てほしいという連絡が入った。退職してから半年。やっと次の仕事が決まった瞬間だった。

後日どうして採用されたか聞いてみたところ、月初めに採用した人がすぐに辞めたため、求人を出したタイミングだったこと、上司はラーメンが好きで、私と同じ沿線という、実務とは全く関係ないところですべてのピースが当てはまったようだった。

【2社目】

2社目の会社は本当に居心地がよく、楽しく過ごせた。社長との距離が近く会社や社会がどういう仕組みでどう動いているか、多くの視点を得ることができ、とても勉強になった。今思うとこの頃からこれからもずっとサラリーマンではなく、独立というものが視野に入っていたかもしれない。ラーメンチェーンにいたときは組織があり社長はとても遠い存在で、自分とは全く関係ないものというように感じていた。しかし転職してみたら社長はもっと身近な存在で、自分に同じことができるとは思わないが、全く関係ない人ではなくなっていた。

視野が広がってくるとだんだん仕事が物足りなくなってきてしまっていた。そして今のままで良いのか考えるようになっていった。楽しい職場だけに楽しいまま過ごすことへ不安を感じるようになっていった。もっといろいろな視点があるのではないか。

【2回目の転職活動】

転職活動は一度経験しているので前と同じようにいろいろな会社に応募してみた。2社目の在職中に取得した診断士パワーはものすごく、応募した会社すべて面接に呼ばれた。書類で落ちると思っていたので面接のスケジュールを立ててみたら過密スケジュールになり、面接疲れしてしまった。数社から採用の連絡も頂いたが、あまり良く考えないでとりあえず応募してしまったため一旦仕切り直そうと思い断ってしまった。

紆余曲折を経て3社目の仕事についた。管理部門で仕事をしていろいろと勉強にはなったが、衝撃をうけるほどの発見はなく、入社して3ヶ月経つ頃には向こう2年位ここで仕事をして、その間次に何をするか考えようと思っていた。

【そして独立へ】

次に何をするか考えるにも、もう転職活動をする気もなく、独立することしか道が残されていないように思えた。また、そうなるように気づかぬうちに自分でレールを引いていたようにも思えた。思い切って独立したという感じではなかった。

サラリーマン時代は1社目、2社目で会社の人間としての視野の広がりが仕事に良い影響を与えた。診断士試験も合格できた。

しかしそれだけでは経営は難しいと感じる。自分が見えていることを全てやりきっても、その中でも結果が出ないことがある。見えないところで何かが起こっている。あらゆることを予測して動いていかないといけない。

これからは、AIやロボット化、通信技術のさらなる発展、人口減少に対する政策など目まぐるしく時代が動いていくだろう。競合や自社のことなどの社内外の視点だけではいつの間にか取り残されてしまうだろう。時代の流れについてもより具体的に考えて予測して動いていかなくてはならないと思う。だから全く関係ないことにもアンテナを伸ばして、気になったことは調べたり試したりしておいたほうが良いと思う。はじめての転職活動のときのように、全く関係のない何かがきっかけになるかもしれないのだから。


執筆者プロフィール

進藤良一(しんどうりょういち):千葉県で学習塾を経営。ラーメンチェーン店勤務当時は毎日2食ラーメンを食べていたけど今でも健康体。今も大好き。でも最近は大盛りを食べると胃もたれするようになった。年を感じる。

平成22年9月診断士登録。実務ポイント不足に悩んでいるので案件があったら声をかけてください。よろしくお願いします

BIZREN☆通信 3号 「魔都・上海での診断士ライフスタート」

2019年4月 児玉淳也

「ちょっと、いい?」

上司の本部長にそう声をかけられたのは、2018年10月に入って早々の昼下がりのことでした。

今の会社に中途入社して12年ほど経ち、何度か部署異動はしたもののやっていること自体はあまり変わらず、だいぶマンネリ化していた頃でしたので、多少のことには動じなくなっていました。

が、会議室に入るやいなや、「上海の現地法人の駐在員もだいぶ長く行っているから、そろそろ交代させないといけなくてね~。どう、上海行ってみる?」と突然言われ、さすがに一瞬何のことだかわかりませんでした。「えっ、自分が上海に駐在するということですか?」と聞き返し、「そう。1週間考えてみて。」と。

その約3か月後、私は年末の上海にいて、年越しを上海の観光名所の外灘(ワイタン)で迎え、2019年1月より上海での仕事がスタートしました。

中国では、元日のみお休みなので、1月2日からみな普通に仕事をしていました。さらに言うと、今年は2月5日が旧正月(春節)だったため、1月下旬ごろまでクリスマスツリー(!)が飾られているというなんとも不思議な光景もあちこちで見られました。日本だとクリスマスが終わったらすぐに撤去されて正月ムードになるのとは大違いでしたね。

中国のお正月と言えば「爆竹」を派手に鳴らすことが有名ですが、上海の中心部では爆竹を鳴らすことが禁止されていて、最近はすごく静かな正月になったそうです。なんかちょっと寂しい感じもしますね。あと、街中のいたるところに監視カメラが備え付けられており、違反者はカメラでナンバーを自動認識されて点数が引かれるらしいので、クラクションを鳴らしたりするのもだいぶ減ったそうです。

こちらでの診断士的な活動としては、来て早々に「上海中小企業診断士会」に参加させていただきました。その日は、日本からゲストスピーカー3名が来てくださいまして、「日本から町おこし人起こしプロデューサー」、「社会保険労務士」、「心療内科看護師」というバラエティーにとんだスピーカーに加え、診断士チーム5名で例会を行いました。皆さんのバックグラウンドが全く異なり、普段の仕事では聞けないようなディープな話をたくさん聞くことができました。

なお、テーブルの上に食事がいろいろ乗っていますが、こちらではスマホからの出前(「ワイマイ」と言います)が非常に盛んであり、普通のお店はほとんど出前対応してくれてとても便利です(※配達途中で電話がかかってきたりするので、ある程度の中国語力が必要になるのですが^^;)

企業内診断士ビジネス連携研究会(BIZREN)には、診断士登録した2015年から参加し、ものづくり補助金の申請支援などを中心に活動し、おかげさまで3年間で診断士の更新ポイントをクリアすることができました。企業内という様々な制約がある中で、活動しやすい環境が整備されていることは大変助かりました。今年から上海に来ましたが、海外でもできる診断士活動はたくさんあると思いますので、今後、BIZRENメンバーや上海中小企業診断士会の皆さんとも連携して模索していきたいと考えています。

ちなみに、タイトルにある「魔都」というのは上海の別称で、デジタル大辞泉によると「不思議な力で人を迷わせる都市。また、享楽的で誘惑の多い都会。」という意味らしいです。
誘惑に負けずに頑張っていきたいと思います(笑)


執筆者プロフィール

児玉淳也(こだまじゅんや):上海在住。ITベンダーに勤務し、現地法人のマネジメントと営業を担当。2015年診断士登録。国際物流会社やチェコの商社での勤務を経て現職。趣味はお酒で、ワインエキスパートと利酒師の資格も持つ。中国駐在中に白酒と紹興酒を極めるのが目標。WeChat ID: jkodama1216

BIZREN☆通信 2号 「徒然なるままに診断士暮らし」

2019年3月 渡邊哲舟

福岡に戻って半年が経ち、特に目立った活動をするわけでもなくボーっと暮らしているので「チコちゃん」に叱られそうですが、福岡県診断協会の公認勉強会である「IOT研究会」に参加しています。IOTの勉強と診断士の活動に何か役にたつのか等を考える研究会なんですが、なかなかピリッとした活動になっていないな~と感じていたそんなおり、「京都府診断協会が今後のAI時代に対応する診断士の活動内容を研究している」と聞きつけ、IOT研究会のメンバーと2月の初めに参加してきたわけです。

会場は京都の寺町エリアにある「Bnjour!現代文明」。大正時代の京町屋をそのまま保存してイベント会場にしている建物です。

いつものビジネス会議室とは違い、京都らしい雰囲気を醸し出している会場での講習に期待も膨らんで会場入りしました。最初会場がわからず迷いました。この寺町地区は古い建物がそこいらに普通にあり、また景観条例が厳しく建物を建てるにもデザインなどの許可が必要な地区のためこの会場も街に埋もれていました。街全体が古都の雰囲気に包まれて歩いているだけで味わい深い情景です。外国人に人気なのも頷けますね。今度観光でゆっくり来たいです。

講習内容はこれがびっくりする内容で、2日間に分けて5時間の講義と3時間のワークショップだったんですが、長いと感じることもなく、また次回のフォローアップ研修を望む声もあり、大盛況。おそるべし、京都府診断協会のパワー。実際に運営しているのは、「ウィキ京都研究会」IT診断で独立している診断士の先生がいたり企業内のITの専門家がいたりとかなり専門性の高い診断士がいる反面、まったくITの知識はゼロで3か月前から大学のセミナーを受講しAIとは何かを勉強された診断士が講義されたりと非常に活動熱心な研究会でした。

実際の研修内容は「AI時代の診断士の支援法」「身近になったAI」「AIのビジネス応用例」 「AI理論」「AIの実践法」ここまでが1日目の講義。1~3時間目の「AI時代の診断士の支援法」「身近になったAI」「AIのビジネス応用例」は、現在身近にあるAIはどんなものがあるかの紹介(例えばお掃除ロボットや自動車の自動運転やFacebookの画像認識、名刺アプリの自動読み取りなどなど普通の機器に使われているものもAIに分類されるようで、私が知っているのは「AlphaGo」「PONANZA」が囲碁や将棋の名人に勝った話のみでした)。実際、IBMの「ワトソン」に2千万件の論文を学習させて60代の女性患者の白血病を10分ほどで見抜いて適切な治療法を助言するなどビジネス応用例が出てきているようです。また、画像認識によるロボットでの収穫や病害虫のリスク判断など農業分野に応用される例や工業分野では低コストでのスマートファクトリー構築、AI+ロボットで外観検査の省力化、音声認識システムで作業時間短縮とミス低減などが紹介されていました。着実に私たちの身の回りにはAIというかIOTというかこの手の分野の活動が活発になってきています。実用例は多岐に渡っていてここでは紹介しきれない程事例紹介がありました。

続いて「AI理論」「AIの実践法」の講義では機械学習やDeep Learningの説明と仕組みについてかなり技術的な内容を踏み込んでの講義と、実際にAIをつかって企業与信管理の実例などを紹介頂きましたが・・・あまりの難しさに頭がオーバーフローし停止しました。簡単に説明するとビックデータが安価に入手出来る時代がきてIT企業から無料で簡単にプログラミング出来る言語が公開され、解析アルゴリズムもあり内容が良くわからなくてもツールが作成出来る時代なって来ている。今はまだ大手しか活用していないが今後中小企業でも活用出来る時代がすぐそこに来ているようです。息切れしながら1日目の講義終了。この後夕食兼交流会。会場は研修会場の古民家、夜になると昼とはまた違った趣が出てきて非常にムーディーな感じの中、熱い診断士トークがあちこちで展開されるのですが、どこへ行っても診断士は熱い連中ですね。

2日目のワークショップでは和食屋の事例で大手が参入してきて売り上げが低下している状況を、AIを使ってどのように解決するかを4グループに分かれてディスカッション。AIに集客予測をさせる無難な意見から顔認証をさせてお得意様を取り込む、新メニューの開発、労務管理の最適化などいろいろな意見が出てとても参考になりました。

だらだらと書いてきましたが、今回の研修を通じて、AI時代が来たとして結局それは一つのツールとして活用し、クライアントである中小企業が要求する課題解決に繋げるためのスキルを向上させていくことが必要だと改めて感じた研修でした。まあボーっと暮らしてたらこのAI時代あっという間に取り残されるだろうと危機感を強く感じ、明日から頑張ろうと心に誓いながら新幹線の中でビールを開けました。


執筆者プロフィール

渡邊哲舟(わたなべてっしゅう):福岡在住。半導体製造装置商社に勤務。マーケティングおよび商品開発と販売を担当。2008年診断士登録。製品開発や販売支援を中心に活動。マンパワーで運営管理の講師を経験。東京に転勤しBIZRENには2013年入会。趣味はウォーキング。

BIZREN☆通信 1号 「平成終焉BIZRENが向かうところ」

2019年3月 三井善樹

私が診断士登録したのは平成2年4月1日なので、私の診断士人生はまさに平成時代に培われたと言えよう。当時私が勤めていた会社では初の診断士ホルダーとして社内報に写真入りで掲載され、役員からご祝儀も出てもてはやされた。

私の企業内診断士ライフは6年ほどであった。江戸時代の剣術家の宮本武蔵は他流試合と称して名だたる剣豪に試合を挑み、守破離の精神から型にはまらない二刀流を編み出し、武術以外でも彫刻や書道にも通じ「一理に達すれば万法に通ず」という言葉を残している。当時五輪書に心酔していた私は自らを宮本武蔵になぞらへ、会社の外に他流試合を求めた。診断協会ではコンピュータ研究会他様々な研究会に所属した。見るもの聞くものが新しく、すべての出会いが楽しく、むさぼるように新しい知識と人脈を吸収した。副業においてはマンパワーの講師のほか、産能大の添削講師、書籍出版活動に参加して、企業内にいながら自身の可能性を追求した。

しかし、職場の同僚や先輩たちの目は冷ややかだった。営業現場では根性論が蔓延り、挙句の果て古参から「お前はいいよ、会社辞めても食っていけるもんな」などと揶揄されることもあった。一方、会社から一歩出て様々な診断士の会合に参加すると、情報部門の若手診断士は珍しく諸先輩にかわいがられ、そして早く独立するよう促されもした。当時は職場も診断士の世界も資格取得は第二の人生の切符のような考え方が主流であった。まもなく、流れに任せて私も独立したのであるが正直これでよかったのかと今でも思うことがある。

あれから30年の歳月が流れ、いま私は自身のコンサル会社経営しながら、海外コンサル会社の執行役員として再び企業内診断士でもある。企業内診断士ライフは受験者の平均年齢が若くなるにつれ長くなっている。その結果企業内診断士そのものに存在理由が求められるようになった。仮に将来独立するにしても、あまりある時間を安寧とした第2の人生を思い描き、ひたすらそれを待っていてはならない。企業人として戦略性を高め人生を自ら切り開く力を付けなければならない。不惑の企業内診断士としてその存在意義を示す時が来た。

もう10年も前のことであるが、私はJICAの仕事でモンゴルに来ていた。ちょうど相撲の朝青龍が日本パッシングで引退に追い込まれたころで、JICAモンゴル支局から夜の外出は控えるよう戒厳令が出ていた。それでも酒好きの私はその日独りバーで酒を飲んでいて2メートルくらいの巨漢に頭突きを食らったことがある。同じ人間の頭に変わりはないと一撃を受ける瞬間に目をそらさなかったのが功を奏したのか、それ以上の諍いにならず事なきを得た。国技の相撲で精彩を欠き、リーマンショック以降日本人は政治も経済も、どこに行っても誰もが弱かった。情けない日本が悔しくてそのような態度をとったのかも知れない。一方、中国企業や韓国企業は国家戦略のもと勢力を広げ、モンゴルにおいてもやりたい放題に見えた。このままでは日本企業は彼らに負けてしまう。莫大な資金力を背景に急成長する彼らと対峙して、日本企業は互いに技術力を結集しなければ勝つことはできない。

帰国後しばらくして企業内診断士連携研究会を立ち上げた。一握りの診断士が日本経済を救えるわけがないのだが何かせずにはいられなかった。時は過ぎ、最近オープンイノベーションという言葉を見かける。企業の枠組みを超え、革新の輪を広げることで国の発展にまでつなげる。それを促進するために企業と企業のつなぎ人が必要となる。経営戦略のスキルだけでなく、ネットワーキング力が要求される。まさしく企業内診断士が適任ではないか。

BIZRENは企業内診断士が活躍できる場を提供することを目的として、これまで色々な活動を行ってきた。定例会の「しゃべコラ」は、プレゼンターが自身の仕事ぶりと課題を発表し、それを題材に参加者が解決策出す。いろいろな業界のアイデアを飛び交い、さながら他流試合である。他にも、確定申告のための税務知識の勉強会、企業訪問不要の補助金申請代筆業務、JICAやAOTSのプロジェクトへ参加、参加者が運営する無償の実務従事など多岐にわたる。会員は皆企業人なので、出張や転勤、海外勤務はよく聞く話だ。本業が忙しく時として定例会に参加できないこともある。BIZRENではchatworkをインフラとして活用しているので、福岡や上海に転勤してもプロジェクトに参加できる。定例会に参加できないときはZOOMでしゃべコラに参加も可能だ。今後の計画は、働き方改革を迎え副業をサポートするビジネスマッチングや報酬決済システムを検討中だ。後者はすでに一部で採用しており報酬の受け取りや研修費支払いにBIZコインで決済できる。BIZRENという舞台で、企業内診断士が思う存分パフォーマンスを発揮している姿を望んでやまない。


執筆者プロフィール

三井善樹(みついよしき): 企業内診断士ビジネス連携研究会(BIZREN)代表幹事。1994年に国内情報機器メーカーを退職し、経営情報戦略コンサルタントとして独立。2005年から経営革新と販路開拓を一体化したビジネスレップ事業を開始。幅広い人脈を通じて、資本連携、技術連携、販売連携などこれまで100社以上の連携プロジェクトを推進。
専門は経営工学。趣味は料理。