はじめに
BIZREN★通信(39号)を担当させて頂く、右田と申します。
私は、さまざまな業種の企業様において、プロジェクトの推進・管
理の業務に従事しています。また、中小企業診断士として小規模
ながら活動し、これからも本業とのバランスをとりながら積極的に
取り組みたいと考えています。
今回は、私の趣味である「囲碁」について紹介させて頂きます。
どうぞよろしくお願い致します。
- 囲碁の魅力
「無人島に1つだけ持っていけるとしたら何を持っていくか」と質
問された時、私は「碁盤と碁石」と即答します。1つじゃないし、他
に必要なものがあるとツッコミを受けそうですが、それくらいに囲碁
が好きです。
囲碁の起源は不詳ですが、中国では紀元前から広く普及してい
ました。そして、少なくとも奈良時代には日本へも伝わり、貴族の
たしなみとして盛んに打たれていたようです。
このゲームは、一方は黒、他方は白となって交互に石を置き、最
終的に相手より広い領域を囲んだ方が勝つというものです。
石は任意の場所に置ける為、勝敗は石をどのように置くのかに
大きく左右されます。
これは、石を置く場所やその順序、全体としての石の形・構造が、
碁盤上の限られた領域を囲む上で大きな役割を果たすからです。
また、石には、その人の価値観や考え方、創造力・発想力・思考
力等が表れる為、領域を囲うだけの単純な世界にはなりません。
毎回、一所懸命に戦略を立て、集中し、考え、さまざまに工夫を
凝らして最善を尽くします。しかし、1年前の対局を見ると「どう見て
も自分の対局(石の形)だが、このようには置かないな」と感じます。
それほどに、対局を重ねる都度、囲碁は価値観や考え方を変化
させ、創造力・発想力、思考力等を高めてくれます。
近年、囲碁の世界では、AIの浸透によって「定石」と呼ばれる序
盤の形に対する評価が大きく変化しました。これまでの定説や常
識が覆るのを見て、囲碁の奥深さに驚かされます。
私は、対局の勝敗もさることながら、自由な創造・発想が認めら
れ、価値観や考え方が変化すること、ここに囲碁の魅力があるの
ではないかと思います。 - 囲碁十訣
中国では、囲碁が兵法に類似していることから重視されるように
なり、古くから「弈旨」「碁経十三篇」等の囲碁論があります。以下
は、古典的な囲碁論の一つである囲碁十訣です。
不得貪勝: 貪欲に勝とうとすると得をしない
入界宜緩: 敵の勢力圏では緩やかに打つこと
攻彼顧我: 敵を攻撃する時は自分の弱点をよく確認すること
棄子争先: 価値の低い石は捨てて先手をとること
捨小就大: 全体から価値の高低を判断すること
逢危須棄: 発展性のない石が危険な時は捨てること
慎勿軽速: 慎重によく考えて、軽率にならないこと
動須相応: 敵の動きをよく見て適切な対応をすること
彼強自保: 敵が強い所では自分の安全を確保すること
勢孤取和: 孤立した弱い石は平和的に治まること - 今後の歩み
囲碁十訣は、抽象度が高いこともあり、人生訓や経営戦略、製
品開発等、さまざまな視点から捉えることができます。
さて、現代は、1990年前後に提唱されたユビキタス・コンピュー
ティング(ユビキタス社会)が到来し、AIが膨大な情報から学習す
る時代になりました。
私たちは、限られた情報の中で、誰もが知っていることを学習す
る時代から、自らの価値観や考え方に基づいて、自分らしさを学
習する時代への転換点にあるのかも知れません。
中小企業診断士としての歩みは始まったばかりですが、囲碁で
培った創造力・発想力、囲碁十訣が伝える姿勢を大切にしながら、
私らしい中小企業診断士になりたいと思います。
おわりに
私は、20歳頃に囲碁と出会い、多くの影響を受けました。囲碁の
魅力は語り尽くせないものの、私のパーソナリティと共に、少しでも
伝われば、これほど嬉しいことはありません。
末筆ながら、執筆の機会を頂きまして、ありがとうございました。
- 参考図書-
「玄玄碁経集」呉清源著
執筆者プロフィール
右田照明(みぎたてるあき) : 2022年中小企業診断士登録
2023年から企業内診断士ビジネス連携研究会に参加。
独立系Sierにて製造業や小売業等のシステム開発プロジェク
トを経験し、現在はフリーランスとして主にプロジェクト管理の
業務に従事。
趣味は、お酒と囲碁と勉強(自分の殻を破る体験に興味・関
心があります)。