BIZREN☆通信 12号 「脱力系診断士ですが、何か?」

2019年11月 磯崎鈴華

BIZRENは今年で設立10年目。私は診断士歴=BIZREN歴=6年目になります。最初の頃は毎月の例会の参加者も数名で、よく言えばアットホームな雰囲気でしたが、ここ数年は毎年たくさんの方に入会していただき、例会もプロジェクト活動も活気づいてきたように思います。

「企業内診断士ビジネス連携研究会」という名の通り、BIZRENは企業内診断士が大半を占めます。一方で、時期は未定でも独立を視野に入れている方、「複業」(副業ではなく)志向の方、独立している方もいます。いろんなベクトルを持つ診断士が共存できるBIZRENの魅力とは何でしょうか。

私の個人的な意見になりますが、まず第一に「ゆるさ」だと思います。テーマ別の研究会やマスターコースとは異なり、特に活動内容は決まっていません。参加するペースも自由で、序列もほとんどありません。「ほとんど」と書いたのは、代表幹事の三井先生と、人生の大先輩には(一応)敬意を払うという意味で、基本的にはフラットな組織です。あまり縛りがないからこそ、忙しい企業内診断士でも続けられたり、他の診断士活動と掛け持ちできたりするのだと思います。

次に「プロジェクトの豊富さ」が挙げられます。プロジェクトは2つに大別できます。1つは実務従事や補助金申請など、診断士として実務経験を積み、スキルアップしたい(できればポイントも欲しい)というニーズを満たすもの。もうひとつは、テーマ別スキル向上や2 Hats倶楽部など、「こういうプロジェクトがあったら参加したいよね」「こういう仕組みがあったらいいのでは」という、提案型のものです。例会も含めて、参加者創出型のプログラムは、今後もBIZRENの基本的な方向性になるのではないでしょうか。

さらに、前号で小川さんが指摘してくれたように、年齢、性別、業界や、専門分野の異なる会員が所属する「多様性」も大きな特徴です。研究会での交流から得られた気づきやアイデア、ノウハウ、情報を本業に活かすか、診断士活動に活かすか、趣味に活かすのかは人それぞれですが、お互いの知見を活かして、協力し合い、何かを生み出すポテンシャルが存在します。そのポテンシャルを最大化するために、私は近視眼的にならない(目先の小さな利益を追わない)ことが重要だと考えています。オープンなスタンスで長期的につながっていれば、あるとき化学反応が起こり、自分たちの期待をはるかに上回るものが生み出されるかもしれません。

診断士の皆さんは、目標に向かって突き進むような意識の高い方が多いですが、私はあまり真剣に診断士活動をしてきませんでした。資格を取得したきっかけも、幅広いビジネス知識があれば翻訳(当時の本業)に役に立つかも、という程度だったので、「取得してこうなりたい」という明確な目標がありませんでした。今も独立やパラレルワークには興味がなく、かといって会社で出世したいとも思わない「脱力系」です。それでも「せっかく取った資格を何かしら役立てていきたい」という気持ちはありますし、毎月の例会やプロジェクトで良い刺激をもらい、前向きな気持ちになることが多いです。

事務局の運営も、私にとってはBIZRENの活動の一部です。3年目から会員担当、その後、連絡幹事を担当するようになりましたが、本業とは違う側面が鍛えられているように思います。具体的に言うと「全体を見る」視点と「お願いする」能力です。自分自身に出来ることは限られていますので、常に誰かにアドバイスを求め、助けてもらうことを考えています。会社のような組織ではないため、強制力がありませんし、私の頼みをきいたところで目に見えるメリットもありません。そんな中で、どのように他の幹事や会員の方を巻き込み、協力してもらうか・・・。そのノウハウを見出すことが出来たら、これからの人生の武器になりそうな気がします(笑)

もともと本稿に「『企業内診断士』のその先へ」というタイトルを付けようと思っていました。最近は企業内診断士や副業をテーマにした講演会やイベントも目に付くようになりましが、BIZRENではその一歩先、「企業内診断士という枠を取り払って、もっと自由に活動すること」を目指していきたいと思います。フリースタイルを実現する場として、気軽にBIZRENを活用していただけたら嬉しいです。最初に書いたように「ゆるさ」が特徴のBIZRENです。一人一人がやりたいことを提案して、どんどん形にしていく。そんな勢いのある研究会にしていきましょう。

最後に一言。仕事でもプライベートでも、人生にはさまざまなステージがあります。いろんな事情で、例会になかなか参加できない方もいますが、そんな方にも、自分のペースでBIZRENの活動を続けていただけたらと思います。プロジェクトへの参加だけでもOKです。長らく例会には出席していないけれど、伝説のように名前だけ知れ渡っている人もいます。久々に出席したら、知っている人がいないかもしれませんが、それはそれでエキサイティングですよね。同じ研究会に入ってみようと思った・・・共通点はそれだけでも、つながるには十分なんじゃないかと思います。

執筆者プロフィール
磯崎鈴華(いそざきすずか):2014年4月診断士登録。本業は、プロフェッショナルサービスを提供するグループのバックオフィスで、翻訳のコーディネーションと品質管理を担当。趣味はスポーツ観戦と食べること。ワークライフバランスという言葉が大好きで、働くのも遊ぶのもメリハリつけてやっています。