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BIZREN☆通信 27号 「中小企業とブランド戦略」

こんにちは。私は、長らく電機メーカーでブランド戦略の構築に携わってきたのですが、今回は、「ブランド」の考え方が中小企業でも有効か?ということで、「中小企業とブランド戦略」というテーマについて考えてみました。

ブランドとは?

皆さん、「ブランド」というと何を思い浮かべますか?

シャネルやルイヴィトンのようなハイブランド?それとも、アップルやコカ・コーラ、スターバックスなどが思い浮かぶでしょうか?

ブランドという言葉の語源は、中世ヨーロッパで所有する家畜が紛れてしまわないように、自らの所有物であることを示すために押していた「焼き印(brand)」だと言われており、物事を区別するための要素、という考え方から来ています。

しかし、現在では、ブランドは単純に区別をするだけのものではなく、物事やサービスによる評価や価値が蓄積されたものと考えられています。

ブランドの価値

ブランド論の第一人者であるディビッド・A・アーカー教授のブランドエクイティモデルでは、ブランド価値を、①ブランド認知(知っているかどうか)、②ブランドロイヤルティ(ブランドに対する好意や愛着)、③ブランド連想(ブランドの特徴や個性の認識)、④知覚品質(信頼度や品質イメージ)、⑤ブランド資産(知的財産権などの価値)に分類しており、多面的な価値を持つ、無形の資産と考えています。

ブランドコンサルティングのインターブランド社の調査 「Best Global Brands 2021」によると、世界で最も高いブランド価値を持つのはアップルで、そのブランド価値は 4,000億ドル以上と試算されています。ブランド価値には、選好性や価格プレミアムなど、製品やサービスの価値を高めることに直結する効果があり、企業活動に付加価値をつける機能があると考えられています。

ブランド戦略構築のプロセス

ブランド戦略構築にあたっては、まずそのブランドが何を目指し(ビジョン)、何を強みとし(コアコンピタンスやケイパビリティ)、何を実現していくのか(ミッション)という考え方を整理します。

その考え方を、企業活動により体現していくことで、社内外に対して一貫性を持ち、共通のイメージを持つブランドが構築され、ブランド価値が蓄積されていくことになります。

ブランド=知名度だという誤認をされている方がいらっしゃいますが、有名であるかどうかよりも、明確な特徴や一貫した活動と、そこに認められる価値が認識されているかが重要であると考えます。

中小企業は、認知獲得のためにTVCMなどへの大規模な投資は難しいと思いますが、経営の意思が企業活動に直結しやすいという点では大企業に比べて取り組みやく、自社の特徴や強みを明確にし、企業活動を通じて自分たちの価値を高めていくというブランド戦略は取り組みやすい施策なのではないかと思います。

中小企業のブランド戦略成功例

たとえば、山口県で日本酒製造業を営む旭酒造という企業があるのですが、こちらは、積極的な経営改革を、ブランドにつなげて大成功を収めた事例だと考えています。

日本酒市場は、この40年間で約1/3規模へと大幅に縮小しています。その厳しい環境下で旭酒造は、従来からの杜氏制度を廃止しデータによる醸造管理へ移行、生産品目を純米大吟醸酒へ絞り込む等大規模な経営改革に取り組み、地元山口から東京や海外へと展開していきました。

旭酒造は、この経営改革の旗印として銘柄を「獺祭」に絞り込みました。従来の日本酒とは異なるアプローチと共に、その品質や味の評価を、「獺祭」というブランドに蓄積するという考え方です。

「獺祭」は、当初は知る人ぞ知るという銘柄だったものが、現在では純米大吟醸酒の代表的な銘柄として認識されており、非常に高いブランド価値を蓄積しています。

>旭酒造 (https://www.asahishuzo.ne.jp/

ブランド戦略というと、宣伝やロゴなどの見せ方だけが論じられてしまうことが多いのですが、中小企業の強みや特徴を表現するためのツールとして活用し、付加価値を高めていくことができる考え方だと思います。一般消費者向けの商品だけでなく、企業間取引においても何が得意か、というのは発注先を検討する際の判断材料の一つになりますので、中小企業においても、自社がどのように見られたいかを考えてみてもらうと、これまでとは違う事業展開が見えてくるかもしれません。

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執筆者プロフィール:

城 秀利 (たち ひでとし):2013年9月診断士登録。

電機メーカー勤務。ブランド戦略、広告宣伝関連業務に従事。

趣味で、宣伝会議賞というコピーライティングの公募賞に応募していますが、受賞には至りません。

BIZREN☆通信 25号 「今の大学生の特徴から採用戦略を考える」

Bizren会員の皆様、こんにちは。はじめましての方も多いかもしれません。私は普段、私立大学の職員として、学生の職業観を醸成するキャリア教育や就職相談を行うキャリアセンターで仕事をしています。未だに同業の診断士にお会いしたことがなく、自分でも珍しいキャリアを歩んできているなと思っています。そこで今回は私が日々向き合っている今の大学生の傾向をご紹介し、中小企業の新卒採用戦略や新人教育のあり方の参考にしていただければと思います。

Z世代の特徴から見るジェネレーションギャップ

今の大学生はおおよそ1998年〜2002年生まれで、この世代は「Z世代」と呼ばれています。一番の特徴は、生まれた時からインターネットが普及しているデジタルネイティブであるということです。ちなみに私はこの一つ前のミレニアル世代(ゆとり世代)であります。Z世代には特にSNSが身近な存在であり、ネットで調べ物をすることを「ググる」ではなく、Twitterやインスタで利用される#(ハッシュタグ)から「タグる」と言うそうです。

幼い頃から世界中のリアルタイムの情報に触れてきたことで、国際問題の意識や道徳意識も高く、また、リーマンショック後の不況下で育ってきたことから、現実的で実利を追い求め、将来を重視するという傾向が強くあると言われています。私が普段接する学生との会話からも、コスパ意識の高さを感じることがよくあります。彼らの考えるコストは、“お金”ではなく“時間”という軸で捉えられていることが多いようです。例えば、このセミナーに参加することでどのようなスキルが身につくのか、何を経験すれば一番自分の成長につながるのか という視点で物事を考える学生が本当に多いと感じます。自分がやりたいことよりも得られることを優先するあたりに実利主義が垣間見えます。

キャリア教育の潮流

今教育現場ではもっぱらキャリア教育が注目されています。キャリア教育とは、「一人一人の社会的・職業的自立に向け、必要な基盤となる能力や態度を育てることを通して、キャリア発達を促す教育(文部科学省より)」で、今の大学生は小中学校の頃から、学校教育の中で職業観を醸成する様々なキャリア教育プログラムを受けてきています。特に、実社会と関わるプログラムは増えてきました。本学でも企業から提示されたリアルな課題に対し、学生たちが解決策を検討し提案するPBL(Project Based Learning:課題解決型学習)を実施しています。参加学生はとても意欲的かつ前向きに取り組むので、企業からの評価も高いです。

学生はこうした実社会における成功体験によってある程度の自信が持て、それが実利主義が相まって、この会社に入れば自分はこのような成長ができるという具体的なイメージが持てる会社を好む傾向にあります。よって、進路選択時にはその企業の研修内容や人材育成計画(ジョブローテーション等)に興味・関心を持つ学生も多いです。

中小企業が新卒を獲得するための戦略

これらの傾向を踏まえ、私が診断士として中小企業にこそオススメしたいのがインターンシップの活用です。インターンシップとは学生が職場に入り込んで就業体験をすることです。今では約8割もの学生が就職活動前にインターンシップに参加しています。

あるアンケート調査によれば、就活生が会社選びで重視することの1位は「社風が合うこと」、また参加したいインターンシップの特徴1位は「現場社員と話せること」という結果でした。これらを体感することができるのが、現場の社員と共に働く就業体験=インターンシップへの参加であると言えます。

大企業は採用人数の母数が大きいことから一度に多くの学生と接触する必要があるため、ほとんどが企業説明会のような一方向型の内容にせざるを得ず、就業体験からは程遠くなっています。一方で、中小企業は少人数でも優秀な学生に選ばれること、つまり量より質を目指す内容で計画が可能です。ただし、中小企業がインターンシップを実施するには、人事担当者のマンパワー不足や準備への負荷が懸念され、実際にはなかなか導入できないケースもあると思います。しかし、人事担当者が大層なプログラムを練り上げる必要はありません。例えば営業同行や社長の鞄持ちのような内容でも良いと思います。リアルな会社の雰囲気を現場の社員から感じ取ることができるインターンシップであれば、学生が得たいと思う経験に合致し、人気も高まるはずです。

インターンシップは進路選択の一歩手前であるからこそ、会社のネームバリューや規模感に捉われず選ばれるため、中小企業が大企業に差別化を図り、早期に優秀な学生と接触するための好機になるのではないかと考えます。今後の新卒採用戦略の一つに、インターンシップの活用を検討してみてはいかがでしょうか。

上述は私の個人的な見解や主観も多く含まれておりますので、一参考としてお受け止めいただければ幸いです。

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執筆者プロフィール:

中村 彩(旧姓:高橋):2015年10月中小企業診断士登録

国家資格キャリアコンサルタント 保有

本業は私立大学のキャリアセンター職員として、キャリア教育プログラムの企画・運営、指導などに従事。学生起業家サークルの顧問も務める。

趣味は海外旅行。最近はYouTubeで海外旅行記を視聴しながらコロナ後の旅行を計画中。

BIZREN☆通信 24号 「性格タイプがわかると人間関係がすっきり」

2021年7月 平野行伸

人の性格で悩んできました。

今回、BIZREN★通信を担当する平野と申します。よろしくお願いします。私は、長年、電機メーカーの営業職、マネージャーをしてきました。私が仕事上での営業の顧客折衝や、職場、プライベートの人間関係で悩んでいたこと。それは、「なんで自分はこう考えるんだろう?なぜ、ついつい、あのように答えるんだろう?」「あのお客様は、なんでああいう性格なんだろう?」「この部下は、なんでこんな性格なんだろう?」ということでした。

そこで、私は、色々調べていたたところ、性格類型論を研究するエニアグラムに行きつき、日本エニアグラム学会のアドバイザー資格を取得し、同学会会員としても活動しています。今回ご紹介する性格タイプ(エニアグラム)を知ったことで、ようやく私の悩みがすっきりしました。知っているようでいて、案外わかっていないのが自分自身のこと。「自分自身を知る」ということで、自分自身の能力をうまく生かしていくことにつながります。また、自分のことがわかれば、さらに自分と他人との違いを理解することができ、仕事上のお客様との関係、職場の人間関係、・家族や友人知人との関係など、周囲の人との、よりよいコミュニケーションの仕方もわかってきます。今回ご紹介する、性格類型論(エニアグラム)は、自分探しをしている人、就職・転職など自分の進路や将来のことで迷っている人、ビジネスの場で人間関係が特に重要と感じている人、職場でリーダーとして人をまとめていかなければならない立場にいる人、家族、知人との関係で戸惑いを感じている人などに役立ちます。また中小企業様向け人事・営業コンサルにも役立ちます。

エニアグラムって何?

エニアグラムとは、いわゆる性格類型論で、人間の性格を9つの基本タイプに分類し、それぞれのタイプの内面の気質の傾向を探るものです。エニアグラムとは、ギリシア語のエニア:9つ、グラム:図という意味です。原始キリスト協会の古代から始まり、20世紀に、心理学者が科学的に研究、検証を始めました。のちにスタンフォード大学で体系化され、現代にいたっています。

9つの基本タイプの診断は、どうやるの?

一番簡単な診断テストだと、たった2つの質問に答えるだけ。あなたや、判定したい相手を思い出して、質問に答えてください。

①社交性:あなた、その相手は、人に接するときの態度は、A:自己主張型(自己主張が強い)、B:追従型(相手のことを優先する)、C:遊離型(内に篭り勝ち)いずれですか?

②感受性:あなた、その相手は、物事に対する受け止め方は、X:肯定型(ポジティブ)、Y:合理型(ロジカル)、Z:反応型(リスクに過剰に反応するタイプ)のいずれですか?

日本エニアグラム学会Webページでは詳細な診断ができます。

https://www.enneagram.ne.jp/about/diagnosis

9つの性格類型

質問に答えたら、以下の表で、社交性(ABC)と感受性(XYZ)のそれぞれの質問回答が交わる類型を確認してください。その類型があなたやその相手の類型です。この性格は、おおむね、各個人の神経伝達物質の「ドーパミン」「ノルアドレナリン」「セロトニン」の分泌量に関係しているとの研究報告がされています。

9つの性格類型の有名人、漫画キャラ

各タイプの有名人、漫画キャラは以下のとおり。ただし、有名人の方に診断をしてもらったのではないので、実際は違う場合もあります。また、外部の印象から人の性格を決めつけることも推奨していませんのでご注意ください。ちなみに私は5.観察者です。

1.完璧主義者(イチロー、ドラミちゃん)、2.博愛主義者(関根勤、ドラえもん)、3.達成する人(小池百合子、スネ夫)、4.個性的な人(マイケル・ジャクソン、スナフキン)、5.観察者(タモリ、しずかちゃん)、6.忠実な人(谷原章介、マスオさん)、7.熱中する人(明石家さんま、野原しんのすけ)、8.挑戦者(ドナルド・トランプ、ジャイアン)、9.平和主義者(ウド鈴木、のび太)

執筆者プロフィール:

平野行伸(ひらのゆきのぶ) 2020年5月診断士登録

勤務先:株式会社 日立製作所 水・環境営業統括本部

職歴:新卒後、山一證券株式会社に入社しリテール営業をしていたところ、すぐに会社が自主廃業の憂き目に。日立製作所に中途入社。最初はコンシューマPCの営業企画で、マーケティングや商品企画、広告宣伝を担当。その後、公共ITシステム営業へ異動し、中央官庁及び自治体のIT営業担当。現在は、社会インフラ(上下水道、道路、港湾、空港、脱炭素・環境等)の官民連携・IoT・AI関連の新規事業創生を担当。この4月より、広島に単身赴任し、中国、九州で自治体へ提案活動中。

取得資格:ITストラテジスト、日本エニアグラム学会アドバイザー(3級)を取りました。

資格勉強中: 2021年5月から予備試験(法科大学院を出なくても司法試験を受けられる試験)の勉強を始めました。

2021年度活動予定

第118回    2021年04月09日(金) 総会
第119回    2021年05月14日(金)
第120回    2021年06月11日(金)
第121回    2021年07月09日(金)
第122回    2021年09月10日(金)
第123回    2021年10月08日(金)
第124回    2021年11月12日(金)
忘年会    2021年12月10日(金)
第125回    2022年01月14日(金)
第126回    2022年02月18日(金)
第127回    2022年03月11日(金)

BIZREN☆通信 23号 「縁をつなぐ場としてのBIZREN」

2021年5月 清板智子

BIZRENの例会をオンラインに切り替えて1年以上経ちました。場所問わず参加できる良さがありますが、一度も顔を合わせたことがない方もいらっしゃいますよね。4~6月は入会検討中の方にも目にしていただくことが多い時期ですので、BIZRENの雰囲気に触れつつ、診断士活動の参考になればと、私のこれまでの活動をゆる~くご紹介したいと思います。目を見張る活躍をされている方の経験談は入手しやすい一方で、そうではない人たちってどのようなことをしているの?という問いにこたえる一つのサンプルになれば幸いです。

資格取得まで
きっかけは、当時担当していたお客様に提供できることを増やしたい、経営について体系的な知識を得たいと思っていたときに中小企業診断士という資格を知り、資格学校の体験講座を受けたこと。面白そうだなと、そのまま入学を決めました。
2014年度に合格し、そこから15日間の実務補修を経て、2015年4月に経済産業省に登録されました。ここまでは、前のめりな人って思うかもしれませんが、当時は合格したら早く登録したいなくらいの感覚でした。実務従事を重ねることで、登録要件を満たせるということをきちんと理解していなかったので、目先のレールに乗っただけとも言えます。そんなこんなで、順調に登録完了したものの、知識習得を目的にしていた私は、登録後についてはほとんど(いえ、まったく)考えていませんでした。

登録後の模索期間とBIZRENとの出会い
診断士1年目は、協会や支部イベントに参加したり、多数のマスターコースの勧誘に驚いたり、研究会の見学に足を運んだり、支部活動に携わったり(中央支部国際部で4~5年活動していました)、お世話になった先生からの“1円を稼ぐ大切さ、苦労を体験せよ”という助言のもと、同時期に合格した勉強仲間と電子書籍を出版したり(これはこれで楽しかった!)、と週末時間の多くを模索時間に費やしていました。
が、この状態は持続性がないなと感じ、自分のペースでできること、したいことに緩やかにシフトしていきました。
そんな中で紹介してもらったのが、BIZREN。初回見学は診断士2年目になった5月、ちょうど総会のときでした(※総会とは、1年間の活動内容を決定する場。現在は3月開催に変更されています)。総会は聴いているだけでしたが、懇親会に参加してみると、馴染みやすそうだな、ガツガツしていなくて居心地よさそう、という印象をもったと記憶しています。入会を強要されることなく、“よかったら来月も来てくださいね~”と言っていただき、そのまま現在まで継続しています。皆さん企業勤務の方で、適度な距離感でフラットに繋がれることが魅力的だと感じています。

診断士らしい仕事
初めて診断士らしい仕事をしたのは、企業の補助金申請の支援。BIZRENで行っているプロジェクトのひとつです。初回は、お客様はどんな企業で、どのような事業を行っているのか、業界の特徴はなにか、補助金はどのような内容なのか…、と調べることが多く、時間がかかりますし、社長や担当者から聴いて引き出すことも多い。BIZRENではチームのサポートを受けられるので、心強さはありつつも、主体は自分なので、初回はそれなりに苦労しました(いや、2回目以降も変わらないかも?)。
補助金支援で得られることは、実務従事ポイントとちょっとした対価、段取り力が鍛えられること、本業と異なる業界のお客様と向き合い視野が広がることだと思います。そして何より、自分の力でお客様に役に立てることは嬉しいですね。
私がこれまで担当したお客様は機械器具製造業や福祉サービス業など、普段接点がない業界でした。例えば、金型企業を担当した際は、着手段階では金型って何?という状態でしたが、ネット動画で製造工程を見てイメージをつけたり、どのような製品に使われているかをメーカーサイトで確認したりして理解を深めていきました。新しいことを知ることが好き、面白い!と思える方はきっと楽しい時間になると思います。私は申請書作成段階では、楽しむ余裕を持てないことが大半ですが、振り返ると学びになったなと感じます。

続けているとつながってくる
現在は、縁あって数社の経営支援や業務支援を適度なペースでさせていただいています。今ある仕事を丁寧に対応することで、次につながっていくんだな、と実感しています。周りの方々を見ていても、一つの仕事から、別の仕事につながったり、広がったりしている様子を見聞きすることが多いです。これはきっと、どの世界でも共通していることですよね。
資格は、取得過程で得られたことがあれば、十分に意味があるものだと思います。さらに、使い方によっては共通項を探るツールであり、縁をつないでくれるツールにもなる。
BIZRENという研究会は、縁をつなぐ場でもあります。
自分なりのスタイルで、その時々で続けられるペース・内容で参加している方が多いのも特徴です。相互連携を大切にしていて、持ち回りで幹事を担当しています。いつかは読者の皆さまもこの通信の企画者になっているかもしれません。
ということで、BIZRENにご関心がありましたら見学大歓迎です!

執筆者プロフィール:
清板 智子(せいた ともこ):2015年4月中小企業診断士登録

マーケティング情報サービスの会社で、サービス企画開発やIT企画などに従事。
最近ハマっていることは、観葉植物を愛でること。

BIZREN☆通信 22号 「わらしべ長者」

2021年3月 林順一

2020年5月に診断士登録をしました林順一です。60歳までリース会社の主に海外部門で働き、今は週のうち半分は中小企業で経営企画系の仕事をし、半分は診断士活動を行っております。

今回は、これまで最も楽しめた仕事についてお話したいと思います。1997年4月、3回目の海外駐在としてタイの現地法人に赴任しました。しかし、同7月2日、海外投機筋の売り攻勢に耐え切れず、タイ・バーツがドル・ペッグ制から管理フロート制に移行、その後30%を超える暴落となりました。アジア通貨危機の始まりです。

多くのタイ企業・投資家は、為替リスクを気にせず、金利の安いドルを借り、バーツで運用していたため、債務は膨らみ、国全体が不良債権にまみれ、銀行の融資は止まり、解雇が続き、経済は壊滅状態となりました。

我々リース会社も原則、新規契約をストップ、既存契約の回収に専念、業界全体での軽度の遅延を含む不良債権率は30%~40%程度ではなかったかと思います。現地法人唯一の日本人駐在員として債権回収、資金繰りに胃の痛くなる日々は続きますが、それも1年経つとやることがなくなってしまいました。常々赴任先では少なくとも一つ、「これをやりました」と言える仕事を残したいと思っていましたので、新規事業としてメンテナンス付き自動車リースの事業化を企画しました。9ヵ月間の市場調査、修理工場との交渉、メンテナンスコストの積算、取引先のご協力を得た試験的なリース契約の運用も経て、企画書を書き上げ、シンガポールの役員のゴー・サインをもらい本社役員会の承認を取ることができました。しかし、条件が付いて、ゼロから事業化を進めると収益化に時間がかかるので、現地の会社を買収せよ、というものでした。

そこから買収先探しが始まり、地元の自動車リース会社、レンタカー会社等にあたるものの、成果は上がりません。そんなある日、本社の営業推進役から、その方の出身元の化学繊維メーカーがタイのサイアム・セメント・グループ(SCG)と合弁会社を立ち上げ、測定機器のリースをしたいと言っているので訪問してきてほしいとのメールが入りました。バンコクから車で3時間のラヨーンにある合弁会社に行って、話を聞くと、短期間だけ機械をレンタルしたいので在庫はありますか、というような話で、予想通り空振りです。しかし、往復6時間が無駄になると思い、ダメもとで他に設備などリースするものはありませんかと聞くと、設備は借入、自動車はサイアム・セメント・グループ内のリース会社から借りている、とのこと。

サイアム・セメント(SGC)は、1913年に国王ラーマ6世により設立されたタイ王室財産管理局が出資する王室系名門企業、建設資材、製紙から石油化学まで手広く事業を行い、トヨタ、三菱電機、日本製紙、クボタなどとの合弁会社も待つ、タイ最大のメーカー系複合企業グループです。その歴史と産業界での地位から、日本でいえばトヨタと日本製鉄を合わせたような会社です。

そんな大企業が子会社を売らないよなと思いつつも、会社に帰って、タイ人の役員に、ちょっと話を聞きに行きたいんだけど、SGCに知っている人いる、と聞くと、なんと彼は前職はSGCで、すぐに元同僚に連絡をとってくれました。そして、なんとSGCは、その自動車リース子会社の売却を検討している、というではありませんか!早速、グループ企業担当の部長に会いに行くと、エジソンが興したアメリカの総合電機会社のファイナンス子会社と交渉中でしたが、何とか入札に参加させてもらいました。結果は、金額に差がありその米系会社が落札。しかし、6か月後その部長からまだ興味はあるか、との連絡。米社はリース資産は買うが、社員は引き取らないことが、暗礁に乗り上げた理由のようです。そこからは、競争相手もなく良い条件で2001年8月買収、私も社長として乗り込み、2003年4月の帰国まで経営統合作業を進め、買収当初より黒字、現在ではタイでの主要事業の一つになっています。

この経験を思いだすたびに、私は昔話「わらしべ長者」が頭に浮かびます。たった一本のわらしべから→みかん→織物→馬→長者の家、と交換を重ね長者になるというお話ですね。

空振りに終わりそうなメールから、ダメもとで話をつないでゆくと幸運の女神が何度か下りてきて、数十億円の利益につながった、ということですね。幸運の女神には前髪しかありません。躊躇せず、前髪=チャンスをつかみましょう。

といっても、こんなラッキーなことは、長いビジネス経験で一度しかありませんでした(笑)。他のチャンスは逃していたのかも。

執筆者プロフィール:
林順一(はやし じゅんいち):2020年診断士登録

横浜市神奈川区在住。
専門分野:M&A(戦略立案からデューデリ、契約、PMIまで)、事業承継、海外進出、中核人材獲得支援など。
休日:毎週走っていましたが、足底筋膜炎でお休み中。
どなたか、よい治療法、クリニックを教えて下さい。

BIZREN☆通信 21号 「アトキンソンさんにモノ申す?」

2021年2月 磯島康郎

私には昨年9月菅政権が発足した時からずーっと気になっていることがある 。それはデービット ・ アトキンソンさんの存在だ。 政府「成長戦略会議」 のブレーンの一人。 英国オックスフォード大学で日本学を学びゴールドマンサックス時代にバブル後の日本経済をアナリストとして見つめてきた人物だ。 現在は寺社仏閣等の修復を手掛ける小西美術工藝社という中小企業の社長でもある 。 私は、 以前から彼の著作「観光立国日本」 「日本人の勝算」 などを愛読していた。

中国の属国になるか
私が診断士の養成課程を卒業するときに、 出版社に勤める知人から 「これから診断士になるなら 、 ぜひ読んでおいた方がいい本があるよ 」 と言って手渡されたのが「国運の分岐点」という本である 。 サブタイトルには「中小企業改革で再び輝くか、 中国の属国になるか」 刺激的な言葉がある 。 この本の目次は以下の通り

第1章 「低成長のワナ」からいかにして抜け出すか
第2章 日本経済の最大の問題は中小企業
第3章 この国をおかしくした1964年問題
第4章 崩壊しはじめた1964年体制
第5章 人口減少・高齢化で「国益」が変わった!
第6章 国益と中小企業経営者の利益
第7章 中小企業 護送船団方式の終焉
第8章 中国の属国になるという最悪の未来と再生への道

彼がこの本で書いていることとほぼ同じ内容が未来成長会議で話され昨年12月の実行計画の第7章に落とし込まれている。
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/seicho/seichosenryakukaigi/dai5/siryou1.pdf
彼の著作の書かれている内容は極めてロジカルで解り易い。日本の戦後復興は、 日本人の勤勉さと日本人は思い込んでいるが、 単純に人口が爆発的に増えたからGDPも増加した。GDO=人口× 生産性だから人口が減少している今の日本では生産性を高めないとGDPは維持すら できない。 だったら生産性を上げるしかない。 中小企業は大企業の半分しか生産性がないから 合併やM&Aを促進して規模を大きくしてGDP=国力を保つしかないでしょ …ということだ。確かにお説ごもっともで突っ込みどころがないように見える 。しかし …しかしである 。 彼の主張に私は “そこはかとない ”違和感を感じている 。 皆さんはアトキンソンさんの主張が政府に影響力を持ち実行されていくのをどの様に感じていらっしゃるでしょうか?

記憶にないアメリカの街
私はアメリカ赴任時代にオバマ氏とヒラリー・ クリントン氏が民主党の大統領候補の座を争っていた予備選挙キャンペーンに帯同して全米中を取材したことがある 。 NYやロス、 サンフランシスコ 、 マイアミ 、 ボストンなど海沿いの町は覚えているのだが地図の真ん中にある 街も 多数訪れたが全く記憶に残っていないのである 。 それはなぜか? どこに行っても同じチェーン店やモールしかなかったからである 。きっとそ れらの町にも私が訪れる 10年以上前には個人経営の個性豊かな食堂やレストランがあったであろう 。 生産性を求めると規模の経済原理が働き多様性が失われてしまうのは仕方がないことかもしれない。

私は、 アトキンソンさんの主張が間違っているというつもりはさらさらない。 生産性向上はもちろん指すべきだと思う 。一方で“多様性” を失ってよいかというとそうではないと思う 。このまま 、 突き進むと 日本中どこに行ってもユニクロをニトリしかないような町がいたるところに出現してしまうのではないかと 危惧している 。 私は2010年民主党政権下で作成された中小企業憲章を思い出した。 診断士の一次試験の過去問にも出たことがあるので記憶にある方も多いだろう
https://www.meti.go.jp/committee/summary/0004655/kensho.html
憲章の冒頭部分には以下のような記述がある

「中小企業は、社会の主役として地域社会と住民生活に貢献し、伝統技能や文化の継承に重要な機能を果たす。小規模企業の多くは家族経営形態を採り、地域社会の安定をもたらす。このように中小企業は国家の財産ともいうべき存在でる。 」

妻の友人が昨年4月、 緊急事態がまさに発出されるタイミングで奥沢駅の近くにカフェをオープンした。 50代半ばの子育てが一段落した主婦が、 これまで母親として子供に食べさせてきた安全で美味しい料理を家族以外の人にも食べてもらいたい 。 自分の夢をかなえるため美と健康にこだわったメニューを提供しコロナ禍でも 地元民に愛され大検討している 。

私は診断士2年目で大した実績もない。 ただ3年目を迎えるにあたり 、 右手には成長戦略会議の実行計画を携えながら左手には、 中小企業憲章の“魂”も持ちながら診断士活動をしたいと思う 。

執筆者プロフィール:
磯島康郎(いそじま やすお) :2019年5月診断士登録

㈱フジテレビジョン 編成制作局 著作権契約部勤務
職歴: 「情報プレゼンターとくダネ ! 」「ノンストップ! 」 プロデューサー
ニュースサイト FNNプラインオンラインチーフプロデューサー
趣味は全身EMSスーツで愛犬と散歩

BIZREN☆通信 20号 「補助金って役に立つ」

2021年2月 城ヶ崎寛

悩んでいませんか?
皆さんは本業を持ちながら中小企業診断士らしい仕事をして社会貢献したいと考えていませんか?また、せっかく苦労して取得した中小企業診断士の資格を維持するために実務従事ポイントを獲得するのに苦労されていませんか?その解決策となるのが補助金申請支援です。中小企業が設備投資をする資金を政府が支援する制度ですので、中小企業から人気もありますし、支援する人が求められています。しかし、勤務しながら、しかも中小企業の経営支援の実務経験がない自分でも大丈夫なのか?そう思われている方も多いのではないでしょうか?。

ものづくり補助金は優良企業しかもらえない

「ものづくり補助金」の存在を知った企業が、補助金がもらえたら、この事業に取り組もうという、補助金ありきの事業計画を立案するための支援を依頼されるケースがあります。残念ながらこうした企業では、補助金申請に真剣に向き合うことができず、不採択に至るケースが多くあります。

モノづくり補助金 通称「もの補助」では、本年は、時給が地域別最低賃金を+30円以上上回り、給与支給総額が毎年1.5%以上の上昇を従業に確約しなければ申請できません。従業員30名で、給与支給総額が1億円の企業では、毎年150万円以上の給与支給総額を上昇させる必要があります。毎年付加価値額も平均3%増加が求められます。

また、本年1兆円以上の国家予算がつき、事業再編に取り組む企業を対象に、中小企業の場合は最大6000万円まで補助金の出る事業再構築補助金が注目を集めています。こちらも毎年付加価値額も平均3%増加が求められます。

コロナ対策の給付金とはずいぶん考え方が違い、事業計画の優秀さと、投資対効果の大きさが重要となります。

企業に喜ばれる

補助金の獲得は、設備投資を支援してほしい中小企業からは非常に喜ばれます。採択を支援できると中小企業診断士としての仕事としてやりがいがあります。

企業内診断士でも取り組める

こうした意欲的な企業の支援に取り組む元気のよい中小企業の事業計画策定を支援し、中小企業に貢献して、実務従事ポイントをゲットできるのが「補助金太郎」です。Bizren会員であれば、参加資格があります。補助金初心者でも、ベテランのプロジェクトマネージャーのガイドの下、最終検査を受け持つチェックマンの厳しい指摘により、補助金申請まずは、補助金初級コースを受講して模擬代筆に取り組んでみましょう。きっと企業内診断士でも本格的な中小企業支援の一端をになう体験を得られるはずです。

執筆者プロフィール:
城ヶ崎 寛(じょうがさき ひろし) 2008年診断士登録

外資系コンピュータメーカーを出発点に、約30年間IT業界での業務に従事。主として、営業及び研究開発・システムインテグレーションに従事。2016年独立開業 2019年 株式会社ワールド・ビジネス・アソシエイツ 理事 として、外務省ロシア、JICAインド、JICA南アフリカの案件に従事。

趣味は、水泳と週に1回の焼酎

BIZREN☆通信 19号 「気持ちだけでも海外旅行」

2020年10月 大塚直也

新しい生活様式から半年

新型コロナウィルスの緊急事態宣言が発令されてから早くも半年が経ち、気がつけば上期もあっという間に過ぎていきました。業界によって程度の差はあれど、大なり小なり影響を受けて気づきの機会が多い半年だったのではないかと思います。また、プライベートでは今年のGWや夏休みは、旅行の計画をしていたものの中止を余儀なくされた人も多いと思います。実は私も、超がつくほどの旅行好きで、学生時代からバックパッカーとして、どちらかというとマイナーな国(僻地?!)を旅してきた方です。

海外旅行に行けないからこそ

そこで、今回はこれまで渡航した国の中から、いくつかをピックアップさせていただき、気持ちの中だけでも旅行気分を味わって頂ければ、幸いです。また、気になる国や将来旅行予定がありましたら、お気軽にお声かけ頂けると嬉しい限りです。

【これまでの渡航国一覧】

アジア:韓国、中国、台湾、香港、フィリピン、タイ、マレーシア、ブルネイ-ダルサラーム、カンボジア、ベトナム、ラオス、インドネシア、インド、バングラデシュ (14ヵ国)

南米:アルゼンチン、パラグアイ、チリ、ボリビア、ペルー(5ヵ国)

北米:アメリカ、メキシコ、キューバ(3ヵ国)

欧州:トルコ、ギリシャ、スペイン、イギリス、アイスランド、ドイツ(6ヵ国)

アフリカ:南アフリカ、スワジランド、タンザニア、ナミビア、ボツワナ、ザンビア、ジンバブエ(7ヵ国)

合計 35か国

(1)ボリビアのウユニ塩湖

少しベタではありますが、学生時代に40日以上を旅した南米のハイライトの一つ。乾季は水がなく、塩が地面を覆い真っ白になり、遠近感がなくなることからトリックアート写真を楽しめますが、雨季は水が張り、「水位が2センチ前後」「雲が少しだけある」「風がない」の3条件が揃うと、天国にいるような鏡張りになります。また、新月の時は、上も下もプラネタリウムばりの星の世界となるようです。運よく条件がそろうように、行かれる際は日程に予備日を設ける余裕のあるスケジュールがおすすめです。

(2)南アフリカの喜望峰

教科書に出てきたことで名前は聞いたことある方も多いと思いますが、アフリカ南端の岬です。アフリカというと暑いイメージがありますが、そんなことはなく、喜望峰近くではアフリカペンギンもいます。喜望峰へ行く際の起点となるケープタウンには、テーブルマウンテンという文字通り、真っ平らな山があり、そこからの夕日とともにおすすめです。

(3)アイスランドの氷の洞窟、オーロラ、シュノーケリング

最後の一つだけ違和感があるかもしれませんが、どれもアイスランドでは冬に楽しめます。といっても、シュノーケリングするのはドライスーツを着て、北アメリカとユーラシアプレートの間の幻想的な場所です。気になる方は「シルフラの泉」で検索ください。そして、アイスランドのおすすめ理由は、他のオーロラが見える国に比べ、そこまで寒くなく、冬でも観光アクティビティが多いこと。名前は寒そうな国ですが、実はハワイと同じく火山島で地熱により、他の北欧のように比べ10℃以上温かい中で、夜のオーロラ観察を楽しめます(とはいえ氷点下ではありますが)。地熱発電が盛んで、ブルーラグーンで有名なシリカの温水プールもあります。

(おまけ:おすすめ書籍とひとり言)

最近読んだ書籍の一つに「現代経済学の直観的方法(長沼伸一郎)」があり、経済学を感覚的に理解するという意味で、良書だと感じたことから、共有させていただきます。ブロックチェーンの概念もわかりやすく記載されており、目から鱗でした。そして、読みながら感じたこととして、資本主義は市場拡大が前提となっており、設備投資と大量消費により経済が動いていました。しかし、近年は極端な気候やプラスチックのごみ問題などで環境負荷が注目され、サーキュラーエコノミーやSDGsなど、資本主義と正反対に見えるキーワードが出てきています。今後、これらがどう両立していくのかで、日本を含めた世界の経済情勢は大きく左右され、中小企業を含めた企業活動も影響を受けるのかなと考えていました。(最後に少しだけ診断士らしいネタを。。)

執筆者プロフィール:
大塚直也(おおつか なおや):2017年診断士登録

本業は総合化学メーカーでこれまで営業、マーケティング、新規事業検討などに従事。
趣味:国内外旅行、マラソン(最近はジョギング)、ベランダガーデニング