BIZREN☆通信 16号 「コロナ禍の向こうに何を創る」

2020年4月 稲林豊太郎

外出自粛の日々
在宅勤務で、ネット会議や、面談の延期や中止連絡。そんな中での時差通勤、やむを得ない外出。本当にご苦労さまです。明かるいテーマにしたかったのですが、この時期、コロナ禍抜きには語れず申し訳ありません。

売上ゼロで倒産多発・経済大混乱時代を生き抜く覚悟を
中小企業は、2~3か月の資金しか持っていないところが多い。4月にストップすれば6月~7月に手元資金が無くなります。この恐さ感覚が、大企業内の診断士には判りづらい。
4月も半ばを過ぎ支援策がやっと出てきて、内容面も幅広いですが、申請に対応する処理スピードの遅さが問題です。医療も同じですが、この国はプロセス管理が苦手です。
在職していたガス・リフォーム会社から電話があり、家庭用はガス量が前年比伸びており、業務用(飲食、学生寮、観光施設)大幅ダウンとのこと。今後の集金を心配していました。超優良企業で心配はいらないですが、「9月末まで、月ごと、用途別販売量見込みを作成、怖がらず悪い数字を直視せよ、行動策を具体的につくって、見込差異・変化見逃すな。不安感は力にならない」と応答したところです。

落ち着いた先の異質な社会を少しでも見通しておきたい
診断士としては、「PEST分析」準備をしておくべき時と感じています。医療援助や薬品開発を梃に米中間の覇権争いが激化、東南アジア、中東、アフリカへの勢力図に変化があれば、国際的なサプライチェーンが変化し、日本企業の影響はどうか。IMFの世界経済見通し2020年-3.0%、2021年5.8%回復(4月20日発表 実質GDP、年間増減率%)
0000年米国  ユーロ圏  日本   中国  インド
2020年 -5.9  -7.5   -5.2   1.2   1.9
2021年  4.7    4.7    3.0   9.2   7.4

筆者は原油価格落ち込みと変動の影響、日本の輸入原価は下がりますが、中東の金融力低下、米国、露等の産油国景気悪化が長引くバランスの悪さは心配です。

テレワーク導入、IoT化は加速
技術上も、規制的にも課題はありますが、このコロナ禍が、唯一残す“福”だろうと思います。労働時間管理の問題や、ネット環境未整備の場所、情報セキュリティと、いろいろありますが、コストより何より安全優先の中で便利さを学んだ人間の力は大きい。
「うちは現場仕事で」という声もありますがセンサー、IoT活用範囲も拡大、5Gのスタートもあって、コロナ禍収束後更に大きく成長するでしょう。

労働力確保の手当て出来ず
総務省公表の昨年10月現在の人口推計で日本人の自然減は49万人で過去最多、厚労省公表の外国人労働者が19万8千人増えています。コロナ禍で入国制限が長引けば労働力不足を外国人で補っている弱さが露呈します。
「働き方改革」で中小企業にも2020年4月から、労働時間の上限規制(労基法36条)が施行されたが殆どニュースになっていない。ちなみにパート・有期法の適用は2021年4月である。

SDGsに繋げたい
環境省「うちエコ診断士」3年に1度の資格更新研修。今年は違ってeラーニング。気候変動問題、地球温暖化対策技術個人情報管理・消費者問題の3科目を受講し、その後120分間の○☓テスト。完了を押すと、即点数と合否判定が画面表示される何だかゲーム感覚のテストでした。温室効果ガス総排出量は、2018年度まで5年連続減少しました。経済の停滞で2019年度、2020年度とさらに減少しても収束後に、いかに持続可能な社会構造に移行できる形での経済の立て直しにできるかも課題です。

自室の窓から見える富士の姿が、春の時期にも関わらず松戸からもよく見えます。
「麟鳳遊」、伝説の麒麟や鳳がゆったりと安心して大空を遊んでいるという禅語ですが、その様な穏やかな日々を願っています。

執筆者プロフィール:

稲林豊太郎(いなばやし とよたろう) 1979年4月診断士登録
岩谷産業株式会社で主にエネルギー事業を担当、関係会社(アウトドア用品会社、ガス・リフォーム会社)社長等を務め、2019年7月退職、独立準備中、松戸商工会議所経営相談員趣味はトレッキング、毎年20回程度、丹沢、奥多摩、奥秩父を歩き回っています。富山県高岡市生れ大阪府豊中市育ち、1984年転勤で東京に