BIZREN☆通信 17号 「テレワークからポストコロナを考える」

2020年8月 増渕健二

<コロナ禍と働き方>

8月上旬時点で、各地過去最大の超えるコロナウイルス新規感染者が出ており、まだまだコロナ禍の終息の兆しが見えない状況かと思います。西村経済再生担当大臣からも「テレワーク7割の推進」を経済界に要請しており、首都圏の会社を中心に今後もテレワークの推進は続くのではないでしょうか。

筆者も社内のIT環境が整ったことで、4月より完全在宅勤務となっており出社せず、今日この時点も自宅でテレワークを行なっております(私物整理のために1日だけ出社が許されましたが、出社時間が細かく管理されており、他の社員との接触は禁止されておりました。)。ウイルスが弱毒化ないしは感染者が急激に減る、またはワクチンや治療薬がすぐ実用化されない限り、年内はほぼテレワークとなる予定です。

<中小企業のテレワーク状況>

筆者のように、多くの大企業ではテレワークの推進が行われておりますが、中小企業ではどのような状況でしょうか。以下、デル・テクノロジーズ株式会社(8月1日よりデル株式会社とEMCジャパン株式会社の合併により社名変更)による、「中小企業のテレワーク導入状況に関する調査結果( https://blog.dell.com/ja-jp/survey-telework_20200729/)」を参考にしながら確認します。

まず、テレワーク導入率の推移についてですが、3月時点の13%から7月時点では36%に上昇しています。これは4月上旬に緊急事態宣言が発令され、中小企業もテレワーク意向が一気に高まったためだと考えられます。業種別で見ると、「情報通信業」が最もテレワーク導入が進んでおりますが、「建設業」、「製造業」などは導入検討をしていない割合が多いことがわかります。

「製造業」、「建設業」は物理的な「現場」が業務の中心にあるため、テレワーク導入がどうしても難しいことが原因のようです。

また、導入意向について見ると、4割以上の回答者がテレワークに「全く関心がない」または「あまり関心がない」ことがわかります。

<テレワークの未来と診断士にできること>

以上の調査結果から、中小企業のテレワーク状況は「2極化」が進むと言えるのではないでしょうか。非対面型業務が多い情報通信業はさらにテレワーク推進への投資が進む一方で、対面型業務や現場型業務が多い業種ではコロナ前の働き方を今後も継続する可能性が高いと言えます。

診断士として、中小企業からテレワーク導入の相談が来た場合は、こうした状況を踏まえた助言が必要となります。テレワークのための労務管理からIT投資、また非対面型の営業戦略立案など、幅広い視野でバランスを見ながらトータルコーディネートできるスキルやノウハウを持っていることは、中小企業診断士としての強みと言えるのではないでしょうか。

<ポストコロナに向けて>

コロナ禍が終息しても、場所と時間に縛られず働けるメリットからテレワークを継続する企業は多いのではないかと思います。テレワークが「ニューノーマルスタンダード」となることで、様々な課題点が表出すると思われます。例えば、採用面ではテレワーク可能職種に人気が集まり、テレワーク困難職種の人材不足が加速することが予想されます。一方、テレワークだと、社員間で顔を合わせる機会が少ないことでのコミュニケーショントラブルも発生しやすいと言えます。

私自身もITハードウェアメーカーとして、中小企業診断士として、こうした課題解決の支援により注力したいと思います。

執筆者プロフィール:
増渕健二(ますぶちけんじ) 2017年6月診断士登録

外資系ITハードウェアメーカー勤務の企業内診断士。現在は完全在宅勤務で、インサイドセールとして従事。0から1を作ることに興味・関心があり、診断士としては創業支援や新規事業開発支援、勉強会の主催を行なっている。趣味はランニング。横浜市生まれ横浜市育ち、東京中央支部所属。