BIZREN☆通信 14号 「丸くなるな、かじりまくれ!」

2020年1月 三井善樹

皆さん あけましておめでとうございます。ことしは子年。ネズミといえば「かじる」ことが習性なので「かじる」話をしようと思います。デジタル大辞泉で調べると、①硬いものの端をかみとる②物事のほんの一部分だけ学ぶという意味があります。まずは、物事の部分だけかじる話。

とにかく、かじりまくれ!!
昨年11月13日、私はBIZREN体育会メンバーとともに皇居ランに参加した。といっても、その日参加したのは皇居ランメンバーのU氏と私だけ。リーダーのS氏はインフルにかかりそれでも申し訳なさそうにスタートの立ち合いに来てくれた。U氏はラガーマン、登山家で走ることはお手のものだが、私にとっては初めての皇居ランである。若いころ少年サッカーコーチのトレーニングで痛めた膝をかばっての一周5キロは結構しんどい。事情を察したU氏も私にペースを合わせてくれ41分かけて一周した。大嘗祭前日の夜の皇居は若者のランナーであふれていた。桜田門から眺める夜景がきれいだったなあ。
ひと走り後、ささやかな達成感を味わいながらの生ビールは格別である。BIZREN体育会の今後の話に花が咲いた。「M:ところで、Uさんは、どうしてラグビーや登山を始めたの?」「U:なぜでしょうかねえ?」「M:2つの競技に何か共通点が有るの?」「U:うーん、目の前の障害に対してのチャレンジですかね。そういえば今の僕の仕事にも共通しているところがありますよ」人が物事に没頭するには意味がある。仕事であろうが趣味やスポーツであろうが、人生を豊かにするそれぞれ特有の価値がある。障害を乗り越え頂を取る、的を射る瞬間の興奮、継続した安定感など、価値は様々であるが、それぞれに相性の良い価値があるようだ。だからそれを大切にして続けることができる。しかし、そのような価値との出会いは偶然のめぐり合わせが多く、機会がなければ生涯気付かない。とにかくかじりまくって相性の良い価値に出会う機会を増やすことだ!

続いて、硬い(大事な)ものをかじられてはならない話。

かじられて丸くなるな!!丸くなっても、芯までかじられるな!!
昨年末のBIZREN関連プロジェクトの忘年会で、ベテラン企業内診断士S氏と話した。彼は開発マンでありながら診断士の実務も毎年人の3倍こなす有能な企業内診断士である。開発マンに似合わず口が達者で、これまで巧みに社内を渡り歩き本業と診断士の業務を両立させてきた。ところが、昨年の補助金申請プロジェクトではいつものパフォーマンスを発揮できなかったようだ。酒の席で私がそのことを皮肉ると、「いやー、申しわけありません、今回は本業の開発提案に時間を取られてしまって」と釈明する。年齢的には幹部の仲間入りの頃合いだろうから、将来を決める重要な時期に差し掛かっているのだろう。「ところが、私の開発提案は、お偉いさんからあれこれ手を入れられ、原型をとどめないほど丸くなってしまいましたよ。」と自嘲する。私が「BIZRENの模範生がそんな情けないことを言っちゃだめだよ」と茶化すと「ひえー、反省しています。来年はかじられないようにします」などととぼける。人は社会に出て荒波にもまれると、「物分かりが良いよね」、とか「丸くなったね」などと言われ、大人として認められたのではと勘違いすることがある。本来の自己主張(芯)をすべてかじり取られ、原形をなくすまでまるくなってはならない。さもなければ、あらかじめ張りぼてを用意し、相手に思う存分かじらせて、肝心な芯は守り切るようなしたたかさも必要だ。世渡り上手のS氏の場合も、まんまるにかじられたと見せかけ、ちゃっかり肝心なところは守り切ったのではと期待している(笑) いずれにしても、自身のアイデンティティーまでかじり取られては元も子もない。

かじり、かじられ」の場ここにあり!!
BIZRENにはいろいろなプロジェクトやイベントがあり「しゃべコラ」は良い意味で「かじられ」の場でもある。かじられるといっても多くは愛情が込められたかじりなので安心して欲しい。自身の仕事上の悩みや問題をさらけ出すと、それをみんなが「かじる」ことで新しい気付きを与えてくれる。ところが、BIZRENメンバーの半分以上が参加している補助金プロジェクトはそうは行かない。申請書の仕上がりを評価するチェックマンのかじりは手厳しく、余計な文書や非論理的な文書は容赦なくかじり取られる。
また、昨年からスタートしたBIZREN体育会は、互いに趣味のスポーツを紹介し人を通じて新しい価値との出会いの場を目指す。他の人のいろいろな趣味を「ひとかじり」することで、自分にふさわしい価値にたどり着くセレンディピティーを提供する。

今年はネズミのごとく、大いにかじりまくりましょう。世知辛い世の中ですので、やむなくかじられることもあるでしょう。その時は少なくとも芯までかじられる事がないように(笑)

執筆者プロフィール:
三井善樹(みついよしき): 企業内診断士ビジネス連携研究会(BIZREN)代表幹事。1994年に国内情報機器メーカーを退職し、経営情報戦略コンサルタントとして独立。2005年から経営革新と販路開拓を一体化したビジネスレップ事業を開始。専門は経営工学。趣味は料理とスポールブール(日本SB連盟会員)