BIZREN☆通信 12号 「脱力系診断士ですが、何か?」

2019年11月 磯崎鈴華

BIZRENは今年で設立10年目。私は診断士歴=BIZREN歴=6年目になります。最初の頃は毎月の例会の参加者も数名で、よく言えばアットホームな雰囲気でしたが、ここ数年は毎年たくさんの方に入会していただき、例会もプロジェクト活動も活気づいてきたように思います。

「企業内診断士ビジネス連携研究会」という名の通り、BIZRENは企業内診断士が大半を占めます。一方で、時期は未定でも独立を視野に入れている方、「複業」(副業ではなく)志向の方、独立している方もいます。いろんなベクトルを持つ診断士が共存できるBIZRENの魅力とは何でしょうか。

私の個人的な意見になりますが、まず第一に「ゆるさ」だと思います。テーマ別の研究会やマスターコースとは異なり、特に活動内容は決まっていません。参加するペースも自由で、序列もほとんどありません。「ほとんど」と書いたのは、代表幹事の三井先生と、人生の大先輩には(一応)敬意を払うという意味で、基本的にはフラットな組織です。あまり縛りがないからこそ、忙しい企業内診断士でも続けられたり、他の診断士活動と掛け持ちできたりするのだと思います。

次に「プロジェクトの豊富さ」が挙げられます。プロジェクトは2つに大別できます。1つは実務従事や補助金申請など、診断士として実務経験を積み、スキルアップしたい(できればポイントも欲しい)というニーズを満たすもの。もうひとつは、テーマ別スキル向上や2 Hats倶楽部など、「こういうプロジェクトがあったら参加したいよね」「こういう仕組みがあったらいいのでは」という、提案型のものです。例会も含めて、参加者創出型のプログラムは、今後もBIZRENの基本的な方向性になるのではないでしょうか。

さらに、前号で小川さんが指摘してくれたように、年齢、性別、業界や、専門分野の異なる会員が所属する「多様性」も大きな特徴です。研究会での交流から得られた気づきやアイデア、ノウハウ、情報を本業に活かすか、診断士活動に活かすか、趣味に活かすのかは人それぞれですが、お互いの知見を活かして、協力し合い、何かを生み出すポテンシャルが存在します。そのポテンシャルを最大化するために、私は近視眼的にならない(目先の小さな利益を追わない)ことが重要だと考えています。オープンなスタンスで長期的につながっていれば、あるとき化学反応が起こり、自分たちの期待をはるかに上回るものが生み出されるかもしれません。

診断士の皆さんは、目標に向かって突き進むような意識の高い方が多いですが、私はあまり真剣に診断士活動をしてきませんでした。資格を取得したきっかけも、幅広いビジネス知識があれば翻訳(当時の本業)に役に立つかも、という程度だったので、「取得してこうなりたい」という明確な目標がありませんでした。今も独立やパラレルワークには興味がなく、かといって会社で出世したいとも思わない「脱力系」です。それでも「せっかく取った資格を何かしら役立てていきたい」という気持ちはありますし、毎月の例会やプロジェクトで良い刺激をもらい、前向きな気持ちになることが多いです。

事務局の運営も、私にとってはBIZRENの活動の一部です。3年目から会員担当、その後、連絡幹事を担当するようになりましたが、本業とは違う側面が鍛えられているように思います。具体的に言うと「全体を見る」視点と「お願いする」能力です。自分自身に出来ることは限られていますので、常に誰かにアドバイスを求め、助けてもらうことを考えています。会社のような組織ではないため、強制力がありませんし、私の頼みをきいたところで目に見えるメリットもありません。そんな中で、どのように他の幹事や会員の方を巻き込み、協力してもらうか・・・。そのノウハウを見出すことが出来たら、これからの人生の武器になりそうな気がします(笑)

もともと本稿に「『企業内診断士』のその先へ」というタイトルを付けようと思っていました。最近は企業内診断士や副業をテーマにした講演会やイベントも目に付くようになりましが、BIZRENではその一歩先、「企業内診断士という枠を取り払って、もっと自由に活動すること」を目指していきたいと思います。フリースタイルを実現する場として、気軽にBIZRENを活用していただけたら嬉しいです。最初に書いたように「ゆるさ」が特徴のBIZRENです。一人一人がやりたいことを提案して、どんどん形にしていく。そんな勢いのある研究会にしていきましょう。

最後に一言。仕事でもプライベートでも、人生にはさまざまなステージがあります。いろんな事情で、例会になかなか参加できない方もいますが、そんな方にも、自分のペースでBIZRENの活動を続けていただけたらと思います。プロジェクトへの参加だけでもOKです。長らく例会には出席していないけれど、伝説のように名前だけ知れ渡っている人もいます。久々に出席したら、知っている人がいないかもしれませんが、それはそれでエキサイティングですよね。同じ研究会に入ってみようと思った・・・共通点はそれだけでも、つながるには十分なんじゃないかと思います。

執筆者プロフィール
磯崎鈴華(いそざきすずか):2014年4月診断士登録。本業は、プロフェッショナルサービスを提供するグループのバックオフィスで、翻訳のコーディネーションと品質管理を担当。趣味はスポーツ観戦と食べること。ワークライフバランスという言葉が大好きで、働くのも遊ぶのもメリハリつけてやっています。

BIZREN☆通信 11号 「企業内診断士の多様性」

2019年10月 小川 貴之

まず、台風19号により被災された方々に、心よりお見舞いを申し上げます。BIZREN会員の皆様ご自身のみならず、ご家族、ご友人、勤務先および中小企業診断士としてのお客様などまで視野を広げると、かつてない規模の台風の前には誰しも無関係ではいられなかったのではないでしょうか。被災された方々におかれましては、復興にはご苦労も多いと思いますが、1日でも早く平穏な生活に戻れますようお祈りいたします。

【実務従事プロジェクト参加】

さて、我々企業内診断士によくある「中小企業診断士としてのスキルを磨く場が少ない」、「資格更新に必要な実務従事ポイントを獲得する機会がない」といった悩みに応える形でBIZRENが設けている機会の1つ「実務従事プロジェクト」に、先日、他のメンバーと合わせて計6名で参加させていただきました。

試験合格後に課せられる実務補習よりも自由度は高く、指導員も、明確な期限も、報告様式もなく、より実践的に実際の中小企業の診断を行うものです。実務補習のような総合診断でもよし、テーマを絞って補助金申請等に特化するもよし、診断先のニーズやメンバーのリソースに合わせて都度検討することになります。

企業診断に限らず、チームで仕事に取り組むにあたっては、メンバー間で得意分野や取り組み方のバランスが取れることが重要です。その点、今回のメンバーは経験や得意分野がうまく散らばっており、いわば“多様性” がうまく噛み合った結果、ヒアリングから報告会までを大過なく実現できました。

結果として、毎月の定例会だけではなかなか知ることのできないメンバーの個性に触れることができる貴重な機会にもなりました。この場を借りて、ご一緒させていただいたメンバーに改めて御礼を申し上げます。

【注目される“多様性”】

多様性といえば、最近は各分野でこの言葉が頻出しています。企業経営のシーンでは、外国人従業員を採用する日系企業はいまや珍しくもありませんし、エグゼクティブ層に目を向けても、金融庁・東証が取りまとめた<コーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)>では、「取締役会はジェンダーや国際性の面を含む多様性を確保し、経営の監督の実効性を高めるべき」旨が記されています。

スポーツの世界でも、たとえばW杯でベスト8進出を果たしたラグビー日本代表は、出場選手に国籍要件を求めておらず、日本人・日本国籍を持つ海外出身者・外国籍の混成チームとなっています。

ところで、これらの多様性というのは、外形的な属性を取り上げたものがほとんどです。ここからさらに踏み込んでいった先にあるのは、個々の行動・心理特性です。ご参考までに、この点に注目した研究としては先駆けともいえる、ベルビンという社会心理学者のチームロール理論の一部を簡単に紹介します。

(ベルビンのチームロール理論)

・チームが成功するには9タイプの役割が必要(下表参照)

・役割は個人の心理特性によって決まる場合が多い

・必要なのはバランスのとれた個人ではなく、他者とバランスを取れる役割を持つ個人である

1人1人を見れば有能な人材で編成されたチームでも,成績の良いチームと悪いチームがありますが、1つのチームに同じ役割の人間ばかりがいてもチームはうまく機能しないということでしょうか。経験的にも納得しやすい理論のように思います。

【企業内診断士の“多様性”を活かすために】

多様性が機能するためには、お互いを尊重し調整する姿勢や仕組みが必要になります。実務従事プロジェクトのように中小企業診断士がチームアップして活動する時も、同様でしょう。

BIZRENには、同じ中小企業診断士でありながらまったく異なる文化の企業・部門で成果を上げている、まさに多様な人材が揃っています。加えて、企業内で仕事を進めるうえで重要な、他部門・他の従業員の意向を尊重し調整するという姿勢を備えているはずです。これら“多様性”と“尊重”は、我々企業内診断士が連携し活躍していくための拠り所ではないかと思います。

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執筆者プロフィール

小川 貴之(おがわ たかゆき):

2019年4月診断士登録

新卒で製紙会社に入社後、新聞用紙の生産計画担当、企業内労働組合の専従役員を歴任し、現在は株主総会や取締役会といった、会社法・コーポレートガバナンス関係業務に従事。

趣味は大学在学時のサークル活動を契機に始めた書道。今でも年に1度、当時の仲間と合同で個展を開催しています。

BIZREN☆通信 10号 「日本ワインと企業内診断士」

2019年9月 八木 晴信

私の今最も夢中になっている事柄のひとつが、ワインです。もっと深く知りたいと思い、山梨県で営まれているワイナリーのヴィンヤードクラブへ入会し、毎月、葡萄畑へ出向いて愛しい葡萄の世話をしています。冬の枯れ木のような休眠期から見てきた葡萄の木が、このコラムが出る頃には収穫できるまでに立派に育ち、醸造に向かっていくことでしょう。愛情を込めて見守り育ててきた葡萄からできたワインを味わい、堪能する日が待ち遠しいです。

日本で栽培された葡萄100%を使用し日本で醸造したワインを、「日本ワイン」と表示できることをご存知でしょうか。「国産ワイン」は、外国から濃縮還元果汁を輸入して日本で醸造したものも含まれます。神奈川県がワイン生産量No.1なのは、輸入した原材料を使用して大手飲料メーカーの工場で醸造されているからで、日本ワインに限定すれば、山梨県が生産量No.1です。

地理的表示(GI)保護制度に日本ワインの表示の法令化が加わったことで、消費者にとってもワインの違いが認識しやすくなったと同時に、ワイナリーにとってもグローバルの舞台での差別化が可能となりました。全国で約300軒ある日本のワイナリーは96%が中小企業で、我々、診断士の支援対象です。私は将来、日本のワイナリーの支援をすることを目指しています。診断士の使命である日本の発展に貢献するためにも、メイドインジャパンはど真ん中です。

ヴィンヤードクラブやワイナリー巡りを経験し、診断士として見えてきたワイナリー経営の課題があります。ワイナリーの起業は、初期投資が高額です。醸造機械は、1台数百万円以上で、何種類も必要であり、しかも醸造機械は年1回、秋しか稼働せず、ほとんど遊休の固定資産となっています。また、残念なことに、醸造の機械も醸造につかうオーク樽も国産のものはなく、輸入品を使用しています。企業連携で国産機械、林業との協業で国産樽が作れないものかと色々思案しています。

秋の収穫後の仕込みの時期は、ワイナリーは農業者から食品製造業に変わります。収穫されてきた葡萄でその年の醸造方法に変化を加え、各工程に流し醸造していく、その一方で、如何に効率的に作業ができるかも重要になってくる、諸々診断士にお手伝いができそうなところです。

原料となる葡萄の確保でいえば、自社畑からの収穫か、原料として他の畑のものを仕入れるかになります。苗木の価格高騰や葡萄の仕入れ値の高騰があり、収益性は下がっています。また、自社畑を持てば、収穫の時期には人手不足に頭を抱えます。何トンという葡萄を、時期を逃さず収穫する必要があり、そんなうまいタイミングで高品質な労働力を獲得していく方法を持ち合わせていなければなりません。

他には、日本ワインは日本製であり原価が高いので、輸入ワインとの価格勝負では分が悪く、さらにブルゴーニュなど高付加価値のブランドワインと競合になります。ワイナリーでの試飲を始め、SNSの活用やイベントへの出店でブランドの露出を増やすとともに、新規を含め顧客とのコミュニケーションの場と多く作り、ブランドを浸透させていくことが重要になります。

私も体験しているヴィンヤードクラブは、ワイナリー経営にとってとても重要な取組と言えます。葡萄を育てたい欲求を持つファンに葡萄栽培の場を提供する事によって、収穫時には高品質な労働力を確保できます。定期的にワイナリーへ来訪させ、メンバー特典を設ければ、ワイン販売も期待できます。良い口コミを広げ、新たなファンも獲得が可能になり、高品質な労働力確保とファンの定着を獲得できると考えられます。この取組みは、魅力あるワイナリーがファンを引き付け続ける努力をされているからこそできる取組なのです。

ワイナリーのみなさんは、ワインの魅力に魅せられ、取りつかれ、世界一の品質を目指し、そこでしか作れないこだわりのワインを作っています。ワインには、ストーリがある。作り手の想いと大地の声、ヴィンテージ。モノからコトへと消費者の傾向が変わり、ストーリを持って共感されるものが選ばれる時代になった。ワインはこの傾向に合致しており、需要も拡大していることから、まさに追い風となっています。さらにワインツーリズムなどで観光素材としても利用すれば、地域活性化にも貢献できます。

ただのワインラヴァーというところからワイナリー支援を目指す企業内診断士の妄想は果てしなく続きます。

私にとってワインは、食事に彩りを添えるだけでなく、葡萄栽培から始まり様々な人との係わりや経験を与えてくれ、私の人生を非常に彩ってくれています。 私は、ワインでいう樽のような存在で、ワイナリー経営へ香りづけできることを目標に、これからも日々のお仕事と診断士活動、ワイナリー巡りに精進して参ります。

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執筆者プロフィール

八木 晴信(やぎはるのぶ):

2018年3月診断士登録。鉄道会社に勤務。鉄道現場での勤務後、インターネットでのチケット発売システムの企画・開発に長く従事。
名古屋に単身赴任3年目。日本ワインマスターを目指し勉強中。
千葉ジェッツ、オービックシーガルズ、習志野シティFCを応援しています。

BIZREN☆通信 9号 「副業解禁の動き」

2019年8月 浦 美和子

【ワイン会のお知らせ】

今年は冷夏かと思いきや、8月には猛暑がやってきましたね。こんなときはキンキンに冷えたビールが美味しい。喉を通って、胃にピキッっとしみる瞬間がたまりません。思い立って、先日アサヒビールの茨城工場に見学に行ってきました。官能パネリストという職種があるんですね。高度に機械化されていますが、重要な工程では人間の五感による検査をしているそうです。できたてビール3杯つき、という魅惑のプランでした。

そんなビール好きな私ですが、一番好きなお酒は?と聞かれたら、“ワイン”と答えます。お食事にあわせて、どれにしようかな、と考えて、飲んでみて、ピッタリ合うと喜びを感じます。特に安くて美味しいワインを見つけたときは、うれしいです。近年は、日本のワインもよくて、時々ワイナリーを巡ってます。緑の葉が茂る葡萄畑が続く景色には癒されますので、ワインを飲まない方にもおすすめですよ。

さて、先日の定例会でワイン会をしようと話になり、9/14(土)PMに開催することになりました。おしゃれなレンタルルームで、飲み物、お食事持ち込みなので、ホームパーティみたいな感じです。ご参加受付中です。ぜひ、ご一緒しましょう♪

お申し込みはこちらから!   https://kanji.1ww.com/e/103h95

【2hats倶楽部】

2hatsは、三井先生命名で「本業と副業の2つの顔をもつ」という意味です。Bizrenでは、副業の活性化をしようと、現在準備委員会で検討を進めており、私も参画させていただいております。

最近は、大企業が副業OKし始めています。Yahoo!やメルカリといった会社は、イメージできますが、みずほ銀行が容認に動いたことには驚きました。その背景としては、優秀な人材の流出防止が大きいようです。自社以外での経験や新たな領域への挑戦をしたいというモチベーションの高い社員に対して、自由度を与えることは、満足度の向上につながります。

そのほかに副業は、企業側、労働者側それぞれにメリットをもたらします。

<労働者側>

・所得を増やせる

・新たな経験やスキルの蓄積

・起業準備、適正可否の検討

・リスクヘッジ

<企業側>

・社員が社外で得た知識、経験、人脈の活用

政府も推進し、モデル就業規則が出ているくらいですが、多くの会社ではまだネガティブのようです。理由は、労働時間管理や社会保険関連が煩雑すぎることが大きいです。労働時間に関しては、法定労働時間外の割増賃金を後の契約でもつ必要がありますので、わざわざ単価の高い人の採用をしたくないということもありますし、採用した場合には労務管理、給与支払いを本人の自己申告で行おうとすると、正確に対応することは難しく、リスクがあります。

また、本業に身が入らなくなるのでは、という懸念もあります。私が派遣会社でコールセンターの営業担当をしていたときの話ですが、それまで勤怠が良い人が、あるときから遅刻、欠勤、体調不良が目立つようになりました。面談をして、事情を確認したところ、副業をしていると告白されました。収入のためが理由でしたが、話し合いの結果、体調を崩しては元も子もないということで、副業は辞めて、またコールセンターで活躍いただきました。

中小企業診断士として、個人で副業をする分には、労働時間管理や社会保険の問題はありません。労働契約はないので、夜間や土日など自分の都合にあわせて活動ができます。時間管理、健康管理は自己責任になります。

今、厚労省の下、「副業・兼業の場合の労働時間管理の在り方に関する検討会」において各種整備が進められています。老後2, 000万円問題に対処するためにも、定年後も収入を得られるスキルを身に着けておく必要性が高まっていますので、近い将来、副業は広く解禁されると思われます。


執筆者プロフィール

浦 美和子(うら みわこ):

2017年診断士登録、同年Bizrenに入会。東京都在住。城西支部所属。人材派遣会社で営業と企画業務を経験。2019年4月独立。
趣味は、旅行(8月下旬にアフリカに行きます♪)、お酒、ゴルフ。

BIZREN☆通信 8号 「被災地をめぐる旅」

2019年7月 鈴木雅人

【東京オリンピック・パラリンピックまであと1年】

皆さま、こんにちは。いよいよ東京オリンピック・パラリンピックまであと1年ですね。皆さまは、観戦チケットの抽選結果いかがでしたでしょうか?

私の方は、アコースティックスイミングのチームフリールーティン決勝とカヌースプリント決勝、2つの競技のチケット当選しました!!(本命の開会式・閉会式や卓球などは外れましたが、周囲の状況見ていると贅沢いえませんね。) 折角の機会なのでこれから更に、パラリンピックも含めて他の競技(特に新国立競技場でやるもの)のチケットも入手できればと思っています。

【今回のテーマ】

さて東京オリンピック・パラリンピックは復興五輪という位置付けをされています。私は、学生時代を仙台で過ごしていましたが、震災時、子供が生まれたばかりということもありボランティアとか復興支援にあまり関わってきませんでした。その罪悪感(?)もあってか、ここ4、5年、1年に数回、東日本大震災被災地を訪れております。今回は、今まで私が行ったところの中から、数か所をご紹介いたします。震災のことを忘れない事に加え、東北地方の観光振興も復興には重要かと思います。ご興味あれば一度訪れてみてはいかがでしょうか?

【気仙沼市 東日本大震災遺構・伝承館】

震災時に利用されていた旧気仙沼向陽高校校舎に震災伝承館を加えて震災遺構として2019年3月10日にオープン。津波発生時の気仙沼の様子を映像や写真で知ることができるとともに、3階の校舎内に流されて突き刺さった車や4階まで襲った津波の痕跡など、津波のリアルな恐ろしさを実感することができます。

津波による漂流物で破損した後が生々しい校舎
校舎3Fに流れ着いた車

【南三陸ホテル観洋】

南三陸町にある、客室数244室の巨大温泉旅館。旅館自体も被災しながらも周辺住民を受け入れを行い、2次避難所としての役割を担う。毎朝、宿泊者向けに「震災を風化させないための語り部バス」を運行している。この取り組みは、第3回ジャパン・ツーリズム・アワード大賞を受賞している。また会社として「高野会館」という震災伝承施設を保有。

オーシャンフロントからの日の出(露天風呂からの日の出も大迫力です)や窓辺にやってくる海猫への餌やり、新鮮な魚介類を中心とした食事など、家族でも楽しめる温泉旅館です。

ホテルからの日の出
海猫への餌やり

【旧大川小学校】

震災当時、108名の児童が通っていたが、74人の児童が、死亡、行方不明となった。(教員も10人犠牲になった。)

現在も遺族と市・県で係争中。もし学校の裏山に上っていれば、、、いろいろな思いや悲しみが残っている遺構です。

親としての思い、また一方で組織のリーダーとして、その場にいたらどんな判断をしたか、いろんな立場で考えさせられます。

裏山から大川小学校を臨む

【最後に】

私自身、震災や復興に深く関わって来たわけではなく、このような記事書くのもおこがましいですが、未曾有の震災を忘れないこと、また旅行先としても温泉、海の幸を中心とした美味しい料理など魅力的なところなので、ご紹介させていただきました。


執筆者プロフィール

鈴木 雅人(すずきまさと):

2012年8月診断士登録。
運輸サービス業界に勤務し、千葉・札幌・大阪・香港・東京本社で営業・経営管理業務等の業務を経験。現在は、子会社の総務部門に出向し、経営管理業務・採用業務・コーポレートブランド業務に従事。
最近のマイブーム:ファシリテーション/プレゼンテーション等のコミュニケーション系スキル習得、日本酒・ワイン。

BIZREN☆通信 7号 「今更ですが、自己分析してみませんか?」

2019年6月 福田隆介

【近況】

「バンッ(手がついた音)!ドスッ(膝が着地した音)」「(周り)(ドヨドヨ)・・・」6月例会翌日の運動会親子リレーで出だしに派手にこけました。こける瞬間は走馬灯です。昔、何度か同じ同士を見、あーはなりたくないと思った記憶が蘇ります。「お父さん、気持ちに足がついていきませんでしたね by保育士さん」と笑い飛ばされました。オチは、これでも学生時代は陸上部だったということ。後日、定期的に通っている整体師さんに小生が元陸上部ということは伏せながら転倒した話を笑い話にすると、過去の輝かしい?姿をイメージしてダッシュし、運動会で転倒する元陸上部員お父さんが例年多いとのことを聞きました。酷いと肉離れやアキレス腱までやってしまうとか。運動不足の元陸上部員の方はくれぐれもご注意を。

そうなんです。もう(絶対的に)若いとはいえない。会社の中では立派なおじさん。部下を持つ同期も多くなり、一時前の転職限界とも言われた一線を越える年齢になってきました。これといったきっかけがあったわけではないですが、こけて年齢を感じたことが後押ししたわけでもないですが、これまでのキャリアの棚卸も含めて、自分の心地よい状態とは何なのか、ちょっと哲学モードに最近入っています。

診断士の性なのかすぐフレームワークの類を探しに行くのが悪いところで、とりあえず書店の自己啓発コーナーに立ち寄りました。たまたま手に取ったのが『エニアグラム-自分を知る9つのタイプ(ドン・リチャード・リソ&ラス・ハドソン著の和訳版)』。前書きに書いてあった考え方が何となくしっくりきたので、買って読んでみました。内容として興味深かったので簡単に紹介します。余談として、自分の取り扱い説明書(血液型編)も、純粋に面白かった(注:興味深くはない)です。

【エニアグラムとは】

エニアグラムは、九つの基本的性格タイプと、それらの複雑な相互関係を描いた幾何学的図形です。九つの基本的性格タイプとは以下の通りです。①改革する人-高潔で、理想が高い、②助ける人-思いやりがあり、人間関係を重視、③達成する人-適用力があり、成功思考、④個性的な人-ロマンティックで、内省的、⑤調べる人-強烈に思考する、理性的、⑥忠実な人-真剣にかかわる、安全志向、⑦熱中する人-忙しく生産的、多才で楽天的、⑧挑戦する人-パワフルで、掌握する、⑨平和をもたらす人-気楽で控えめ。相互関係とは、「統合」と「分裂」を指します。エニアグラムの統合とは、「自分が成長したときの特徴(方向)」がわかるもので、ストレスをあまり感じず、自分らしくいれる状態のときに、相互関係にあるタイプのいい特徴が自然と出てくるというもの。

例えばタイプ①改革する人の統合方向は⑦熱中する人となりますが、①高潔で理想が高い完全主義者が成長する過程では⑦楽天的に物事を考え、こうあるべきだと思っていた自分の視野の狭さに気づけるらしいです。分裂はその逆で、「自分が不安やストレスを感じている時の特徴(方向)」がわかるもので、大きなストレスや不安・怒りを感じていつも以上に気分が落ち込んだり、取り乱している時に、相互関係にあるタイプのマイナスの特徴が自然とでてくるというもの。逆に⑦熱中する人の分裂方向は①改革する人となり、⑦本来前向きで興味があることに手を出しすぎる傾向にある楽天家が大きなストレスや不安・怒りを感じると①完全主義者のマイナスの特徴である「細かいことにうるさすぎる」「口やかましくなる」などの特徴が自然と出てくるらしいです。このようにこの学説の趣旨は、人の成長パターンと陥りやすいパターンをタイプごとに極めて具体的に示すことで、その限界を超え、本来持っている可能性や資質を伸ばすことを目指すものと理解しています。もっと色々と深いことが書いてありましたが文字数の関係で割愛します。ネットでも調べられます。

起源は諸説あるようで明確になっていないようですが、2500年以上前に遡る歴史あるものに間違いはないようです。かなり長い間オカルト扱いをされていたようですが、20世紀に複数の学者(追々調べてみると小生が読んだ本を書いた人のよう)が心理学研究を発展させた結果、現在、効果的な自己成長システムの一つとして、ビジネス・コーチング・カウンセリング・教育などに取り入れられているようです。自分自身がどのタイプに当てはまるかはgoogleで『エニアグラム』と検索すれば様々なサイトが簡易診断テストを提供していますので是非時間と興味があればやってみてください。


執筆者プロフィール

福田隆介(ふくだりゅうすけ):東京都在住。総合重機メーカに勤務し、素材調達を主に担当。2012年診断士登録。本年3月まで3年間京都に単身赴任しており、3年ぶりのBIZREN復帰となる。マイブームは日本酒。

BIZREN☆通信 6号 「BIZRENで展開されるプロジェクトのご紹介」

2019年5月 会員担当

企業内ビジネス連携研究会(BIZREN)では、毎月第2金曜日の例会において、様々な業界の動向や勤務先での取り組みを知る「勤務先事例紹介」や、テーマに対してショートディスカッションを行う「しゃべこら」を行っています。

この月一の例会には収まりきらない活動をプロジェクトとして実施しており、人脈形成やスキルアップを求める方、もの補助や副業に取り組みたい方、実務ポイントを求める方など、企業内診断士の多様なニーズに対応したプロジェクトを計画しています。

■補助金プロジェクト

BIZRENには、企業内診断士でも「ものづくり補助金(通称:もの補助)」の申請代筆にチャレンジできる仕組みがあります。案件ごとに、プロジェクトマネージャー(PM)とチームを組んで対応し、企業様との打ち合わせはPMが行いますので、代筆担当者は企業訪問をすることなく、土日や空いている時間で申請書作成に取り組むことが可能です。

初めての方には研修もあり、基本的なルールや採択されるためのコツを教えてもらえます。実際の申請書作成においても、PMのサポートや、BIZREN内の各種相談コーナーでも質問をすることができるので安心です。さらに、申請書の納品前にはチェック担当者による二重チェックもあるので、補助金申請が初めてでも、製造業の経験がなくても大丈夫。このようなサポート体制が整っているのは、何年も企業内診断士の補助金申請に取り組んできたBIZRENならでは、です!

そのほか、経営革新計画や経営力向上計画、先端設備導入計画などの代筆依頼もあります。診断士として経験をしたい補助金申請業務にBIZRENで是非チャレンジしてみませんか?

■実務診断プロジェクト

企業内診断士によくある「資格を取得したものの活かす機会が少ない」、「資格更新に必要な実務従事ポイントを獲得する機会がない」という悩みに対し、BIZRENで実務従事をする機会を年2回程度設けています。BIZREN会員でメンバーを募集して、チームを組んで実際の中小企業の診断に取り組みます。なにかと忙しい企業内診断士のチームなので、打ち合わせは、極力、平日夜や土日にChatworkやZoomなども活用し、効率的に行います。実務従事ポイント獲得や中小企業診断士としてのスキル向上はもちろん、日頃の定例会ではわからないBIZREN会員の多才な側面を知ることのできる良い機会です。募集があった際には、積極的な参画をお願いします。また診断したい中小企業はあるが、一人では不安なのでメンバーを募集したいという方からの持ち込み企画も大歓迎です。

■グローバルプロジェクト

グローバルプロジェクトは、海外知見のある企業内診断士のスキル経験の活用と、国際化社会を迎え日本人ビジネスマンがグローバル感覚身につけるきっかけを与える場となることを目的としたプロジェクトです。

過去の事例としては、海外産業人材育成協会による貿易投資促進事業のカンボジア経営者向けの訪日研修コースの協力がありました。製造業や建設業、サービス業などの様々な業種のカンボジア人経営者が、日本企業とのアライアンスを想定したビジネスモデルを検討し、プレゼンテーションを実施。その際の、ファシリテーター、及びコメンテーターとして参加しました。

不定期募集となりますが、海外の経営者や起業家の方と実際にビジネスの話しをし、先方の考えに触れる機会です。
ご興味ある方は、募集の際に是非ご応募ください。

■2Hats倶楽部

BIZREN会員の副業のニーズと、業務を委託したい企業のニーズをマッチングさせるプラットフォーム構築を目的とした、「2hats倶楽部」というプロジェクトを進めています。

企業内診断士は、独立診断士に比べて診断士としての活動がどうしても制約されるため、「資格を取得したのに活かせる実践の場がない」、「資格を維持する会費や研修費用など出費ばかりで収入を得る機会がない」などお悩みの方も多いと思います。

そこでまずは、BIZREN内での副業に関するニーズや課題、会員の所属する企業や知人が経営する企業などから、どの程度業務を受託できる可能性があるかを定量的に把握すべくアンケートを実施しています。

まだスタートしたばかりのプロジェクトです。みなさまから多くのご意見をいただき、年内にはパイロット導入、来年から安定稼働を目指していきたいと考えていますので、積極的な参画をお願いします。

■テーマ別プロジェクト

さらに、診断士としてのスキルアップを目指したテーマ別プロジェクトも実施予定。

第一弾のテーマは、本業と診断士活動の両方に役立つスキル「プレゼンテーション」。有志を募りグループでテーマ研究を行い、個別勉強会や外部講師を招いた講演、寄稿などの活動を検討・推進し、BIZRENでも研究内容を共有していきます。

興味のあるテーマがある方は、ぜひ第二弾以降のテーマとしてご提案ください。


執筆者プロフィール

企業内診断士ビジネス連携研究会 企画担当幹事

浦 美和子 (うら みわこ)
菅 巧也(すが たくや)
鈴木 雅人(すずき まさと)
青田 良夫(あおた よしお)
齊藤 尚仁 (さいとう なおひと)
城 秀利(たち ひでとし)

BIZREN☆通信 5号 「診断士の輪の向こう側のあなたの知らない世界」

2019年5月 堀 崇博

『3.11』

2011.3.11. 診断士試験合格後の実務補習、最後の1社の最終報告会を3日後に控えた、金曜の昼下がりにそれは起きた。

帰宅困難のため、その日は会社に宿泊。同僚に「何書いてるの?」と訝られながら深夜までPCに向かい診断報告書を作成。

土曜は何とか帰宅。日曜にメンバーと報告会へ向けた最終すり合わせ。明けて月曜、いよいよ最終報告会に臨み・・・のはずが、交通機関がマヒ。診断先企業にたどり着いたメンバーは半分。やむなく報告会はそのメンバーに任せ、残りの半分(私も含む)は、動いている電車と徒歩を駆使し、登録手続き&修了式の会場でもある両国を目指すことに。

こうして私の診断士ライフは波乱含みのスタートとなった。

登録直後は意欲的にあちこちのイベントに参加してみた。春先は震災の影響で延期や中止になっているものも多々あったが、それでも支部総会や研究会の説明会、マスターコース説明会などを回るうちに、瞬く間に名刺の山ができる。

当時、「企業内診断士」に特化した研究会は珍しかったので、BIZRENには早い段階で入会を決めた。11月にはサッカーW杯で副審を務めたSさん(この方も診断士)をゲスト講師に初めてのBIZRENフォーラムも開催され、私も会場案内係を務めた。

『未知の世界への扉』

徐々に診断士の輪が拡がっていった私だが、ふとしたことで、新たな世界の扉に手をかけることになる。

ある時、仲良くなった同年代の診断士から食事会に誘われた。お相手は飲食関係の交流会で知り合った方々だという。その食事会で同席したのが「世界一美しい食べ方のマナー」の著者で、芸能人のマナーをチェックするバラエティ番組などにも出演しているOさん。日本箸文化協会の代表でもあり、ついつい他人の箸の使い方にも目が行ってしまうそうで、私も冷や汗をかきながら慎重に箸で食事をつまんだ(笑)

その席で話題に挙がったのだが、Oさんは「日本ビアソムリエ協会」の理事も務めているという。私も元々ビールは好きだったのだが、風呂上りに大手メーカーの缶ビールをグイっと飲むばかりで、ソムリエ資格があることなど全く知らなかった。早速に資格講座の受講を申し込み、私はビールの世界に足を踏み入れた。

ビアソムリエ講座の受講者は、飲食店の従業員やビール会社の社員、私のような一般消費者など様々で、ここで多くのビール業界人と交流することができた。

ビールというとアサヒやキリン、サッポロといった大手のビールが頭に浮かぶ。実際の流通量も、大部分を占めるのはこうした大手のビールなのだが、ビアソムリエ講座では、実は世の中には驚くほどたくさんの種類のビールがあることを学ぶことができる。

まず、国によって違う。ドイツは日本でも親しまれている「ラガー」タイプが主流だが、ベルギーにはスパイスを使ったものや、ウィスキーに近い味わいのものもある。イギリスは黒くて炭酸弱めの「スコッチエール」が有名だ。

そして近年、流行の大きな波が来ているのが 「クラフトビール」 。クラフトビールは、いわゆる大手ビールではない、小規模な醸造所で作っているものの総称で、全国各地の地ビールもこれにあたる。それぞれ、自社の特徴を出すために素材や製法等にこだわって多種多様な味わいを造り出しており、クラフトビール専門のビアバーも都内で次々にオープンしている。

そんな全国各地のクラフトビールが一堂に会するイベントが「けやき広場ビール祭り」や「大江戸ビール祭り」などのビアフェスである。ビアフェスでは安価な「4種飲み比べセット」などを各地の名産品とともに楽しむことができ、年々、来場者が増加する人気イベントとなっている。

↓地方ではお城の麓で開催されることも

また、手軽にクラフトビールが楽しめる穴場として、百貨店で開催される「大北海道展」や「鹿児島展」などの物産展がある。最近では必ずと言っていいほど、その地元のクラフトビールが出店されており、安価に飲むことができるのでおススメである。

↓お得な4種飲み比べセット

こうして診断士のつながりをきっかけに新たな世界を開拓できた今後も機会があれば、思い切り良く足を前に踏み出して扉を蹴破って行こうなどと思っている。


執筆者プロフィール

堀崇博(ほりたかひろ):埼玉在住。空調エンジニアリング会社にて経理業務と経理システム構築に携わる。2011年診断士登録。ビアソムリエと日本酒ナビゲーター、チーズ検定と日本城郭検定の資格を持つ。出張にかこつけて各地の城を巡り、地元のビールとグルメを楽しむ。好きなお城は松本城。

BIZREN☆通信 4号 「経営にチャレンジしてみて」

2019年4月 進藤良一

平成26年11月19日、千葉県柏市の法務局で登記が完了し、晴れて会社設立。新しいチャレンジが始まった。しかしこのチャレンジは今までにないくらい難しい。BIZRENで、せっかく企画をもらったのでこの機会に今までの経験を振り返りつつ考えてみたい。

【独立するまで・・・1社目】

私は大学卒業後、ラーメンチェーンを展開している会社に新卒で入社した。働くことの意義、目標、社会人としてのマナーなど自分の根幹になるところはここで培われた。そして店を回すこと、アルバイトの管理、売上向上など店長としていろいろなことを学ばせてもらった。関東、中部の様々な県の店舗を経験し売上上位にも顔をだすようになった頃、もっと新しいことにもチャレンジしてみたいという思いがふつふつと湧き上がってきた。具体的には店舗はP/Lで動いているが、B/Sも知りたい、関わってみたいと思うようになっていた。それには経理の仕事が良いのではと考えた。

【はじめての転職活動】

30歳を超えた男性で未経験の経理職に転職というのは当時、ほぼ不可能と言われていた。応募書類を出しては断られ出しては断られた。何度も繰り返したが1件面接に呼ばれた。面接担当は後の上司だった。私は経理の実務経験もないのでラーメン店での話をして終わった。最後に帰りの電車は何線かを聞かれただけだった。面接の手応えなどあるわけがなく帰路についた。次の日、明日から来てほしいという連絡が入った。退職してから半年。やっと次の仕事が決まった瞬間だった。

後日どうして採用されたか聞いてみたところ、月初めに採用した人がすぐに辞めたため、求人を出したタイミングだったこと、上司はラーメンが好きで、私と同じ沿線という、実務とは全く関係ないところですべてのピースが当てはまったようだった。

【2社目】

2社目の会社は本当に居心地がよく、楽しく過ごせた。社長との距離が近く会社や社会がどういう仕組みでどう動いているか、多くの視点を得ることができ、とても勉強になった。今思うとこの頃からこれからもずっとサラリーマンではなく、独立というものが視野に入っていたかもしれない。ラーメンチェーンにいたときは組織があり社長はとても遠い存在で、自分とは全く関係ないものというように感じていた。しかし転職してみたら社長はもっと身近な存在で、自分に同じことができるとは思わないが、全く関係ない人ではなくなっていた。

視野が広がってくるとだんだん仕事が物足りなくなってきてしまっていた。そして今のままで良いのか考えるようになっていった。楽しい職場だけに楽しいまま過ごすことへ不安を感じるようになっていった。もっといろいろな視点があるのではないか。

【2回目の転職活動】

転職活動は一度経験しているので前と同じようにいろいろな会社に応募してみた。2社目の在職中に取得した診断士パワーはものすごく、応募した会社すべて面接に呼ばれた。書類で落ちると思っていたので面接のスケジュールを立ててみたら過密スケジュールになり、面接疲れしてしまった。数社から採用の連絡も頂いたが、あまり良く考えないでとりあえず応募してしまったため一旦仕切り直そうと思い断ってしまった。

紆余曲折を経て3社目の仕事についた。管理部門で仕事をしていろいろと勉強にはなったが、衝撃をうけるほどの発見はなく、入社して3ヶ月経つ頃には向こう2年位ここで仕事をして、その間次に何をするか考えようと思っていた。

【そして独立へ】

次に何をするか考えるにも、もう転職活動をする気もなく、独立することしか道が残されていないように思えた。また、そうなるように気づかぬうちに自分でレールを引いていたようにも思えた。思い切って独立したという感じではなかった。

サラリーマン時代は1社目、2社目で会社の人間としての視野の広がりが仕事に良い影響を与えた。診断士試験も合格できた。

しかしそれだけでは経営は難しいと感じる。自分が見えていることを全てやりきっても、その中でも結果が出ないことがある。見えないところで何かが起こっている。あらゆることを予測して動いていかないといけない。

これからは、AIやロボット化、通信技術のさらなる発展、人口減少に対する政策など目まぐるしく時代が動いていくだろう。競合や自社のことなどの社内外の視点だけではいつの間にか取り残されてしまうだろう。時代の流れについてもより具体的に考えて予測して動いていかなくてはならないと思う。だから全く関係ないことにもアンテナを伸ばして、気になったことは調べたり試したりしておいたほうが良いと思う。はじめての転職活動のときのように、全く関係のない何かがきっかけになるかもしれないのだから。


執筆者プロフィール

進藤良一(しんどうりょういち):千葉県で学習塾を経営。ラーメンチェーン店勤務当時は毎日2食ラーメンを食べていたけど今でも健康体。今も大好き。でも最近は大盛りを食べると胃もたれするようになった。年を感じる。

平成22年9月診断士登録。実務ポイント不足に悩んでいるので案件があったら声をかけてください。よろしくお願いします

BIZREN☆通信 3号 「魔都・上海での診断士ライフスタート」

2019年4月 児玉淳也

「ちょっと、いい?」

上司の本部長にそう声をかけられたのは、2018年10月に入って早々の昼下がりのことでした。

今の会社に中途入社して12年ほど経ち、何度か部署異動はしたもののやっていること自体はあまり変わらず、だいぶマンネリ化していた頃でしたので、多少のことには動じなくなっていました。

が、会議室に入るやいなや、「上海の現地法人の駐在員もだいぶ長く行っているから、そろそろ交代させないといけなくてね~。どう、上海行ってみる?」と突然言われ、さすがに一瞬何のことだかわかりませんでした。「えっ、自分が上海に駐在するということですか?」と聞き返し、「そう。1週間考えてみて。」と。

その約3か月後、私は年末の上海にいて、年越しを上海の観光名所の外灘(ワイタン)で迎え、2019年1月より上海での仕事がスタートしました。

中国では、元日のみお休みなので、1月2日からみな普通に仕事をしていました。さらに言うと、今年は2月5日が旧正月(春節)だったため、1月下旬ごろまでクリスマスツリー(!)が飾られているというなんとも不思議な光景もあちこちで見られました。日本だとクリスマスが終わったらすぐに撤去されて正月ムードになるのとは大違いでしたね。

中国のお正月と言えば「爆竹」を派手に鳴らすことが有名ですが、上海の中心部では爆竹を鳴らすことが禁止されていて、最近はすごく静かな正月になったそうです。なんかちょっと寂しい感じもしますね。あと、街中のいたるところに監視カメラが備え付けられており、違反者はカメラでナンバーを自動認識されて点数が引かれるらしいので、クラクションを鳴らしたりするのもだいぶ減ったそうです。

こちらでの診断士的な活動としては、来て早々に「上海中小企業診断士会」に参加させていただきました。その日は、日本からゲストスピーカー3名が来てくださいまして、「日本から町おこし人起こしプロデューサー」、「社会保険労務士」、「心療内科看護師」というバラエティーにとんだスピーカーに加え、診断士チーム5名で例会を行いました。皆さんのバックグラウンドが全く異なり、普段の仕事では聞けないようなディープな話をたくさん聞くことができました。

なお、テーブルの上に食事がいろいろ乗っていますが、こちらではスマホからの出前(「ワイマイ」と言います)が非常に盛んであり、普通のお店はほとんど出前対応してくれてとても便利です(※配達途中で電話がかかってきたりするので、ある程度の中国語力が必要になるのですが^^;)

企業内診断士ビジネス連携研究会(BIZREN)には、診断士登録した2015年から参加し、ものづくり補助金の申請支援などを中心に活動し、おかげさまで3年間で診断士の更新ポイントをクリアすることができました。企業内という様々な制約がある中で、活動しやすい環境が整備されていることは大変助かりました。今年から上海に来ましたが、海外でもできる診断士活動はたくさんあると思いますので、今後、BIZRENメンバーや上海中小企業診断士会の皆さんとも連携して模索していきたいと考えています。

ちなみに、タイトルにある「魔都」というのは上海の別称で、デジタル大辞泉によると「不思議な力で人を迷わせる都市。また、享楽的で誘惑の多い都会。」という意味らしいです。
誘惑に負けずに頑張っていきたいと思います(笑)


執筆者プロフィール

児玉淳也(こだまじゅんや):上海在住。ITベンダーに勤務し、現地法人のマネジメントと営業を担当。2015年診断士登録。国際物流会社やチェコの商社での勤務を経て現職。趣味はお酒で、ワインエキスパートと利酒師の資格も持つ。中国駐在中に白酒と紹興酒を極めるのが目標。WeChat ID: jkodama1216